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  • 2019/09/09

ふくおかFGが地銀“初”の「ネット銀行」、それでも厳しすぎる現実が待ち受けるワケ (2/2)

給与振込口座という「利権」を失う可能性も

 こうした状況で地方銀行が攻めに転じるためには、首都圏を中心に顧客が多い地域に営業エリアを拡大していくしかない。実際、地方銀行で高収益を上げているところは、首都圏や関西圏など大都市圏での営業活動を積極的に行っている。一棟モノのアパートに対する不正融資でつまずいてしまったが、スルガ銀行はその典型といって良い存在だった。

 ネット専業銀行は店舗を開設する必要がないので、マーケティングを工夫することで、店舗営業エリア外の顧客も獲得できる可能性がある。みんなの銀行におけるマーケティング戦略はまだ明らかにされていないが、九州以外の地域における顧客獲得についても強く意識している可能性が高い。

 地方銀行は、人口減少による商圏の喪失という問題に加え、メガバンクと同様、フィンテック企業の台頭という問題にも対処しなければならない。

 このところソフトバンクグループのPayPayやLINEのLINE Payなど、決済サービス事業への異業種参入が相次いでいるが、一連の事業者は、銀行にとって非常にやっかいな存在といって良いだろう。

 これまで銀行は給与振込口座を基軸として個人顧客を囲い込んできた。法律の規制があり、給与の支払いは現金か銀行振り込みしか認められていなかったので、銀行は預金者の収入や支出のほぼすべてを把握することができた。お金の流れを管理しているからこそ、住宅ローンなど付帯的なサービスを提供することも可能だったわけだ。

 しかし、フィンテックを使った電子マネーがさらに普及した場合、給与の支払いを銀行だけに限定するのはフェアではなく、実際、政府は電子マネーでの給料振り込みを可能にする法改正を検討している。もし銀行が給与振り込みという独占的な利権を失ってしまうと、一気に顧客基盤が崩れてしまうことにもなりかねない。

銀行の電子マネーはあまりうまくいっていない

 こうした警戒感からメガバンク各行は、独自の電子マネー(仮想通貨)の開発などを行っているが、順調に進んでいるとは言い難い。新しい電子マネー(あるいは仮想通貨)を発行することは技術的には難しくはないが、これを決済手段として流通させるためには、小売店や飲食店などの加盟店を開拓しなければならない。こうした泥臭い業務は、銀行が最も不得意とする分野だ。

 独自の電子マネーで異業種参入組に対抗するのではなく、銀行としての基盤を生かし、ネット銀行のサービスを充実させることで、電子マネーに流れそうな顧客を囲い込む方が効率が良い。その意味では、デジタルネイティブをターゲットにしたネット銀行の設立には大きな意味がある。

 しかしながら現実の顧客獲得はそう簡単ではないだろう。

 従来のネット専業銀行には、ジャパンネット銀行やソニー銀行、セブン銀行などがある。ジャパンネット銀行はネット通販の売買を強く意識したサービスを展開することで、出店者や購入者を中心に一定の顧客を囲い込んでいる。一方、セブン銀行は説明するまでもなく、セブン―イレブンに設置してあるATMが強みである。

 ネット専業銀行の場合、何らかの特色がないとシェアを拡大することは難しい。基本的にニッチ戦略にならざるを得ないわけだが、みんなの銀行が、こうした既存のライバルを上回るサービスを提供できるのかは未知数だ。もしほかの地銀グループもこぞってネット専業銀行に進出した場合、他行と差別化するのはますます難しくなるだろう。

 一方、知名度を生かしてエリア内でのマーケティングに特化するという手もあるが、それだけでは異業種に顧客を奪われる影響を軽減するという、消極的な効果しか期待できない。みんなの銀行が、全国区で顧客を驚かせるサービスを提供できるかどうかがカギとなりそうだ。

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