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  • 2020/01/24

年末年始の宴会は「キャッシュレス」だったか?

2019年はキャッシュレス推進が政策の目玉だった。消費税値上げとあわせてポイント還元などのインセンティブが導入されたことから、中小事業者を中心に現金の代替となる決済手段を導入する動きも目立った。「キャッシュレス」については、すでにさまざまな議論がなされているが、ここでは、最近の生活実感をもとに、その進展状況と課題を考えてみたい。

FINOLAB Head of FINOLAB 柴田 誠

FINOLAB Head of FINOLAB 柴田 誠

FINOLAB設立とともに所長に就任。東大経済学部卒、東京銀行入行、池袋支店、オックスフォード大学留学(開発経済学修士取得)、経理部、名古屋支店、企画部を経て1998年より一貫して金融IT関連調査に従事。2018年三菱UFJ銀行からMUFGのイノベーション推進を担うJDDに移り、オックスフォード大学の客員研究員として渡英。日本のフィンテックコミュニティ育成に黎明期より関与、FINOVATORS創設にも参加。

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キャンペーンのおかげで年末年始の宴会の支払いが「キャッシュレス」だった人も多い?
(Photo/Getty Images)

忘年会や新年会で「キャッシュレス」は活用されたか?

 年末年始は忘年会や新年会が開催され、「キャッシュレス」による身近な変化を感じさせられる機会も多かったのではないだろうか。

 忘年会や新年会の場所を予約する際、キャッシュレス推進の「ポイント還元」を見越して、支払い手段の選択肢を気にした人が多かったようだ。飲食店のホームページや紹介サイトなどでも、支払い手段のオプションが表示されるケースが増えたように思われる。

 幹事の中には、事前に多額の現金を用意する必要があるかという心配に加え、自分にとってより高いポイントが得られるカードなどが使える店を選択しようとするケースもあることから、支払い手段に関する情報の提供も、店選びの重要な条件となっている。

 従来から、多店舗展開するチェーン店や大規模商業施設に入居している店舗では、クレジットカード払いが可能な店が多かった。一方、これまで現金だけに対応していた小規模な飲食店においてもカードやQRコードによる決済を導入するケースが増えつつあり、5%のポイント還元や決済端末、手数料補助といった中小事業者向けの「キャッシュレス」推進策に対応していることが感じられた。

求められる「キャッシュレス」サービスの相互接続性

 次に、実際に支払いを行う場面において、店頭に「クレジットカード支払いOK」と表示が出ていても、決済手数料がかかることを嫌って「忘年会コースは現金でお願いしています」と言われたケースや、処理の手間を嫌って「カード払いはxxxx円以上からお願いします」といったケースはまだ残っており、「キャッシュレス」の定着には、まだ時間がかかることを予感させるものがあった。

 ただし、以前にはあった「カード払いの場合にはxx%の手数料をいただきます」というカード会社の規約に違反するような取り扱いを見ることはなくなったように思える。

 そして、店に対する支払いの後、参加者間で精算をどうするかという点にも「キャッシュレス」による変化がもたらされている。従来であれば、幹事が現金で集める場合がほとんどであったろう。もちろん、口座振込による後日精算も可能だが、振込手数料がかかることから、銀行員同志の飲み会などでなければ利用されることは少ないであろう。

 これに対して、QRコードなどの新しい決済方法には「P2P(個人間)決済機能」や「ワリカン機能」を実装しているサービスも出現しており、現金の代替として利用することが可能となりつつある。

 とはいえ、参加者が全員同一の決済手段を登録としているとは限らず、「Aさんの〇〇ペイとBさんのXXペイの互換性がないために、現金で清算するしかない」といった場合も多かったようである。通常はそれぞれの理由でサービスを選択して利用しており、決済手段が単一の方法に集約されることは考えにくいことから、相互接続へのニーズは大きいものと思われる。

 また、大規模なキャンペーンを行って利用者の囲い込みを図り、サービスの優位性を確保しようとする動きが目立っているが、中長期的にネットワーク効果のメリットを得ようとする場合には、サービス互換性の問題は避けることはできないものと考えられる。

 なお、スマートフォンを利用した決済方法においては、携帯番号によって誰にでも送金できるようになれば便利になることは間違いない。

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P2P決済やワリカン機能を現金の代替として使うケースも増えている
(Photo/Getty Images)

【次ページ】キャッシュレスを実現する技術、ビジネスモデル、参加する組織

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