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  • 2020/09/18 掲載

メガバンクの若手銀行員は今すぐ転職すべき? キャリアで考えるべき「3つの軸」

連載:大杉潤の「人生100年」時代のキャリア相談所

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今回の相談者は、メガバンクに勤務する入行8年目の若手銀行員。コロナショックで売上が大きく落ち込んだ企業への資金繰り支援の仕事で忙しい日々を送る中で、銀行自身の業績見通しや将来性に不安を感じ始めています。こうした厳しい環境下で、銀行の将来性をどう見たらよいか、また転職も含めて銀行員としてのキャリアをどう生かすべきか、大手銀行に22年勤務した後、3回の転職と50代後半で独立起業した経験を持つ大杉潤がアドバイスします。

合同会社ノマド&ブランディング チーフコンサルタント 大杉 潤

合同会社ノマド&ブランディング チーフコンサルタント 大杉 潤

1958年 東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。日本興業銀行(現みずほ銀行)に22年間勤務した後、東京都が設立した新銀行東京の創業メンバーに。その後、人材関連会社およびメーカーの人事責任者を経て、2015年より独立し、コンサルタント、研修講師、ビジネス書作家として活動。HRインスティテュート・アライアンスパートナー、リ・カレント プロフェッショナルパートナー、カインドウェア顧問。主な著書に『銀行員転職マニュアル 大失業時代に生き残る銀行員の「3つの武器」を磨け』(きずな出版・2019年)『定年後不安 人生100年時代の生き方』(角川新書・2018年)『入社3年目までの仕事の悩みに、ビジネス書10000冊から答えを見つけました』(キノブックス・2017年)がある。

WEBサイト:http://www.jun-ohsugi.com


【大杉潤への相談内容】

本間 康幸 <仮名> 30歳

 新卒でメガバンクに入行して8年目になります。基本的な銀行業務を一通り経験して、今は都内の支店で、コロナショックによる売上が大きく落ち込んでいる中小企業の資金繰りの相談に乗り、緊急融資による支援をしたり、経営立て直しのための施策を経営者と一緒に考えてアドバイスしたりする仕事で忙しい日々を送っています。

 毎日、経営者の話を聞いて、コロナショックによる厳しい状況を肌で感じているので、どの企業も今後の売上回復には相当時間がかかるし、銀行が緊急融資したお金も果たして返済されるのか不安になってきます。

 また、銀行自体の業績も年々厳しくなっていて、今後は大規模なリストラで人も減っていく見通しで、ますます忙しくなるのではないかと希望が持てない状況です。新聞、経済誌やネットメディアの記事を見ていると、デジタル化の進展で、キャッシュレス決済が拡大しているし、銀行の将来性に不安も感じてきています。

 せっかく入った銀行なので、しっかりとした金融スキルを身につけ、さまざまな業務を経験してキャリアをじっくり作っていきたいと考えていたのですが、世の中の変化が速く激しいため、このまま銀行で仕事をしていていいのか迷いが出ています。

 メガバンクに長く勤めた後、転職した経験のある大杉さんに、今の厳しい状況の中で、転職も含めたキャリアの作り方についてぜひアドバイスをいただきたく相談に来ました。


【大杉潤の答え】銀行をはじめ、すべての会社に求められる「ビジネスモデル大転換」

 まず、コロナショックによる世界的な恐慌について、その位置づけと言うか、評価を最初にはっきりとしておきたいと思います。

 結論から言えば、1929年に起こった世界恐慌に匹敵するか、それを上回る100年に1度の経済恐慌だということです。2008年のリーマンショックの時のGDP成長率や企業業績と比較された指標が徐々に発表されつつありますが、その数値を見ても、リーマンショックをはるかに上回る落ち込みになることは間違いないでしょう。

 100年に1度の経済恐慌なので、100年に1度の変化がこれから起きるということです。

 では、今回の大きな変化について、企業の業績や個人のキャリアを考える際に何がポイントになるのでしょうか?私は、以下の2点を頭に入れておくべきと考えています。
  1. 世界経済の回復には10年単位の時間がかかること
  2. これまで徐々に起きてきた変化が加速してパラダイム転換が起きること

 1つ目の回復のための期間ですが、過去に起きたことを参考にしてみましょう。世界恐慌の時は、そのまま第二次世界大戦に突入し、1945年に終戦を迎えるまで世界経済は本格的に回復せず、15年を超える歳月が費やされています。今回、世界的な戦争が起きることは何としても避けたいですが、経済回復に長い時間がかかることは間違いないと思います。それほど先進国も途上国も、世界的規模で経済活動が落ち込んでいるのです。

 2番目の「パラダイム転換」についてですが、株価の動向を見ていれば、誰でもその方向が分かります。GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)をはじめ、マイクロソフトも含めて大手IT企業の時価総額が大きく上がる一方、伝統的な産業(大手石油、自動車)などは株価を下げています。自動車産業でも新興のテスラはIT企業という捉えられ方で株価が上がっています。

 つまり、パラダイム転換のポインントは、「デジタル化」「オンライン化」「リモート化」でしょう。ウイルス感染症の拡大で、人との接触や「密」を避けるビジネスモデルへの転換が避けられない、ということです。

 それを端的に示す例が、百貨店や専門店などのリアル店舗の売上が大きく減少する一方で、Eコマースによる売上は過去最高の数字になっていることです。世界トップのアマゾンが象徴的ですが、中国でもアリババ、日本でも楽天やメルカリは、コロナショックによりむしろ売上を伸ばしているのです。



 したがって、「デジタル化」「オンライン化」「リモート化」は、すべてのビジネスがそこへシフトするわけではありませんが、まったく取り組まずに生き残ることも難しい。変化の時代には、「成長するビジネスモデル」が変化するということです。

画像
銀行は大きな変換点を迎えている
(Photo/Getty Images)

 銀行自体もそうですが、銀行の融資先である企業も例外なく、伸びるビジネスモデルへの大転換が生き残りの条件になっていくでしょう。

 今回のコロナショックによる経済の落ち込みを、短期間で回復する景気循環と捉えるならば、パラダイム転換など考えなくてもいいかもしれません。しかし、1番目の変化で申し上げた通り、100年前の歴史に学ぶならば、10年を超える単位で回復に時間がかかると私は見ていますので、すべての会社が「ビジネスモデルの大転換」が必須になると考えています。

【次ページ】銀行に起こる変化と生き残りの条件とは?

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