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  • 2020/08/18

年金受給がさらに延長? 転職・起業・社会貢献活動に向けて何を準備すべきか

連載:大杉潤の「人生100年」時代のキャリア相談所

今回の相談は、大手製薬会社に勤める50代の会社員です。自社の定年の60歳まであと数年に迫り、何となく65歳までは定年再雇用で働くことになるのかと考えています。そんな折、3月に「改正高年齢者雇用安定法」(=通称、「70歳就業確保法」)が成立し、2021年4月1日より施行されることになりました。改正された法律では、当面の間は企業としては「努力義務」ですが、勤め先は2021年4月からの導入を考えているようです。こうした中、定年までにどんな準備をすれば良いか、中高年になってから3回の転職や起業を経験している大杉潤がアドバイスします。

合同会社ノマド&ブランディング チーフコンサルタント 大杉 潤

合同会社ノマド&ブランディング チーフコンサルタント 大杉 潤

1958年 東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。日本興業銀行(現みずほ銀行)に22年間勤務した後、東京都が設立した新銀行東京の創業メンバーに。その後、人材関連会社およびメーカーの人事責任者を経て、2015年より独立し、コンサルタント、研修講師、ビジネス書作家として活動。HRインスティテュート・アライアンスパートナー、リ・カレント プロフェッショナルパートナー、カインドウェア顧問。主な著書に『銀行員転職マニュアル 大失業時代に生き残る銀行員の「3つの武器」を磨け』(きずな出版・2019年)『定年後不安 人生100年時代の生き方』(角川新書・2018年)『入社3年目までの仕事の悩みに、ビジネス書10000冊から答えを見つけました』(キノブックス・2017年)がある。

WEBサイト:http://www.jun-ohsugi.com

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70歳以降も働き続けるのが当たり前の社会になるかもしれない
(Photo/Getty Images)

【大杉潤への相談内容】

湯浅 利和 <仮名> 53歳

 新卒で大手製薬会社に入社して以来、ずっと勤め続けて53歳になりました。営業の仕事が長く、現在は若い営業担当者を指導する立場にあります。当社は60歳で定年退職、その後は1年契約の契約社員として65歳まで継続できる「定年再雇用制度」があり、ほとんどの定年退職者がこの再雇用制度を活用して、引き続き契約社員として働いています。ただ、年収や使える経費枠など待遇面が大きく悪化し、仕事にやりがいも感じられずに65歳の年齢期限までは再契約せずに、途中で会社を離れる人もいます。

 今回の「70歳就業確保法」が2021年4月に施行されると、当社でもそれに沿って70歳までの就業を確保するため、再雇用制度だけでなく、転職支援、業務委託契約を締結する制度の導入など起業支援、社会貢献事業への参加支援など、さまざまな選択肢を用意することを考えているそうです。

 私としては、年金の受給開始年齢が現在の65歳から70歳に引き上げられるのではないかと言われているのでなるべく長く働きたいのと、待遇や仕事のやりがいなどの面で再雇用制度の活用よりは、むしろその他の選択肢に魅力を感じています。60歳の定年退職時に、転職、起業、社会貢献活動への参加などの選択をするためには、定年までの数年間、どのような準備をすればいいでしょうか。ぜひ50代での転職や起業を経験されている大杉さんのアドバイスをお願いします。

【大杉潤の答え】「年金受給開始70歳」が着々と進んでいる

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合同会社ノマド&ブランディング
チーフコンサルタント
大杉 潤 氏
 3月に成立した「改正高年齢者雇用安定法」(=通称「70歳就業確保法」)が2021年4月1日に施行されることで、いよいよ誰もが「70歳まで働く時代」が到来したと私は感じています。その背景には、年金財政の問題があります。年金制度はこれまでも何度か制度設計が変更されてきた歴史があります。

 今後の年金制度の見通しについては後ほど詳しく触れますが、そうした年金制度の改革の方向を注視し、70歳まで働くための選択肢として、「改正高年齢者雇用安定法」(=通称、「70歳就業確保法」)で掲げられている、(1)転職、(2)起業、(3)社会貢献活動への参加について、そのためにどんな準備をすれば良いか、ポイントをお話ししていきましょう。

 かつて「人生70年」と言われた1970年頃は、男性の平均寿命が69歳、女性が74歳でした。その時の定年が55歳、年金受給開始年齢が60歳でした。それから50年間で男女とも平均寿命は10年以上延びています。現在は定年が60歳、定年再雇用で65歳になり、年金受給開始は60歳から65歳へ移行しているさなかです。

 その間に日本では少子化が進み、労働人口が減少しはじめ、今後はそれが加速します。したがって、年金を受け取る期間が長くなり、支える側の労働人口の減少が加速しているため、65歳への移行が完了した後も、さらに年金の受給開始年齢を引き上げる制度変更が行われる可能性が高いと考えられます。

 現時点では、厚生労働省から年金受給開始年齢のさらなる引き上げについて、何ら正式なアナウンスはありません。ただ今後数年以内に「70歳へ引き上げ」の発表があると私は見ています。

 実は今でも、年金の受給開始は65歳を基本としながらも、60歳から70歳の間で選択することが可能です。ただし、受給開始を繰り上げて、たとえば60歳から受給すると年金受給額は65歳から受給の場合と比べて30%も減額されます。逆に5年繰り下げて70歳から受給すれば42%増額します。ともにこの金額が残りの生涯続いていくという仕組みです。



現在の年金制度ではどうなっているのか

 現在の年金制度ですが、現在53歳の湯浅さんは「65歳からの支給」ということになっています。しかし、1961年4月1日より前に生まれている方(2020年7月現在で59歳以上の方)は、年金支給開始年齢が段階的に65歳に引き上げられるまでの移行期間として、60歳~64歳のいずれかの年齢から、厚生年金の報酬比例部分が支給されます。

 たとえば、私は1958年5月生まれの62歳なので、下の表の通り、来年5月の63歳になると厚生年金の受け取り(基礎年金は65歳から受け取り)が開始となります。

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 現在はまだ「60歳から65歳への受給開始年齢引き上げ」の移行期間中にあたりますので、厚生労働省から「70歳受給開始への移行」というアナウンスは一切ありません。

 しかし、その兆候が今年5月に成立した「年金制度改正法」に出てきました。先ほども述べたように、年金受給は65歳受給開始を基本として、「5歳繰り上げ」と「5歳繰り下げ」の間で選択できるようになっていて、「60歳から70歳の間」で選べるのです。ただし、繰り上げにするとその分年金額は減額、繰り下げると増額になります。(60歳まで繰り上げると30%減、70歳まで繰り下げると42%増)

 それが今回の年金法改正で、「60歳から75歳の間」で選べる、という変更がなされました。これは明らかに、近い将来、「70歳受給開始」を前提にした動きと思われ、いずれプラスマイナス5歳の「65歳から75歳までの間」で選択という改正になると私は見ています。

【次ページ】いつから年金70歳受給へ引き上げられるか?

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