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- 2020/10/08 掲載
三井住友銀行 副頭取が語る「企業向けブロックチェーン」を採用したワケ
BtoCからBtoBに着実に広がりを見せる「ブロックチェーン」
三井住友銀行の取締役兼副頭取執行役員 グローバルバンキング部門統括責任役員である大島眞彦 氏はまず「ブロックチェーンという言葉からは仮想通貨(暗号資産)を連想する方がほとんどではないか」と述べた。確かにブロックチェーンは仮想通貨、BtoC(企業対個人)取引から始まっている。しかし近年は、BtoB(企業間)取引の分野へ着実に広がっているという。「テクノロジーの進化は、さまざまな分野で生活やビジネスのあり方に大きな変化をもたらしています。金融業界においても、ブロックチェーンを初めとする新しいテクノロジーを積極的に取り入れることで、顧客へ新たな付加価値を提供し、自身の業務の効率化を通じて、生産性の向上に注力しています」(大島氏)
そして、大島氏は新型コロナ感染症の状況に触れ「世界各国が外出を自粛し、リモートワークやペーパーレスに大きく舵を切っている中で、日本でも判子や書類の処理のために出社すべきなのかという考えが広がっています」と述べた。
ブロックチェーンを活用した貿易分野のグローバルプラットフォーム「Marco Polo」
こうした状況下で、新しいテクノロジーを段階的、積極的、迅速に取り入れることで、デジタルトランスフォーメーションを加速する動きが各所に出てきている。大島氏は、この状況において「エンタープライズブロックチェーン」と呼ばれる「ブロックチェーンのBtoB取引」が、さまざまな分野で発展する可能性があり、特に金融における可能性が拡大しているとした。そして、そこで期待される世の中の動き、その変化を見据えた三井住友銀行の取り組みについて紹介した。
大島氏は三井住友銀行のグローバルビジネスの責任者として、常に10年先までのビジネス展開を考えながら業務に取り組み、国内外の顧客の付加価値となるイノベーション、新しいテクノロジーは何かを考え、幅広く情報収集に努めているという。
もちろん、テクノロジーの目まぐるしい進化の中で未来を予測し、生き残っていくテクノロジーやプラットフォームを早い段階で見抜いて取り入れていくことは容易ではない。それでも「グローバルに幅広く構築した情報ネットワークと蓄積してきた知見をベースに、変化を一歩でも二歩でも先取りすることは、やり方次第で十分に可能です」と大島氏は述べる。
そして、貿易分野においてブロックチェーン技術を活用して新しいグローバルプラットフォーム構築を目指す、「Marco Polo(マルコポーロ)」というプロジェクトについて、次のように説明した。
「『Marco Poloプロジェクト』には、世界の主要銀行とともに初期の段階から唯一の邦銀として参加しています。2019年の後半には大手の米銀、そして日本の別のメガバンクもプロジェクトへの参加を決めており、プラットフォームの地位確立に向けて手応えを感じているところです」(大島氏)
【次ページ】100年以上変わっていない国際貿易取引のプロセスをブロックチェーンで変革
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