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  • 2021/05/06

「定年後は一度ゆっくり」が“命取り”なワケ、今から始める60歳以降のキャリアづくり

60歳で定年を迎え、悠々自適なゆとりある生活、というのはすでに過去の話。現在では定年後に2、3年のんびりしただけでも命取りになるかもしれない。なぜそれほどまで、定年後の「ブランク」は危険なのか。これを読んでいる読者の皆さんが定年後にたどるかもしれない運命と不利益を紹介し、また、それを回避するためにどんなキャリアを描けば良いかを、シニア転職支援の専門家が解説する。

シニアジョブ 代表取締役 中島康恵

シニアジョブ 代表取締役 中島康恵

50代以上に特化した人材紹介、人材派遣を提供するシニアジョブ代表取締役。1991年、茨城県生まれ。少年~学生時代はサッカーに打ち込み、J1のユースチームで活躍。大学在学中に仲間を募り、シニアジョブの前身となる会社を設立。2014年8月、シニアジョブ設立。当初はIT会社を設立したが、シニア転職の難しさを目の当たりにし、シニアの支援をライフワークとすることを誓った。売上前年比が最高で300%に及ぶ成長を続け、現在に至る。専門紙を中心にシニアの転職・キャリアプラン、シニア採用等のテーマで連載・寄稿中。

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「定年後はのんびり」はもう過去の話になったようだ

(Photo/Getty Images)


定年退職後に「のんびりしたい」が危険なワケ

 定年退職後の行動で、その後のキャリアが「黄色信号」になる人が増えています。

 4月に改正高年齢者雇用安定法、通称「70歳就業確保法」が施行され、「70歳定年時代」などと言われていますが、すべての職場の定年が70歳になるわけではありません。

 むしろ、職場の定年はどんどんバラバラになっています。

 実際には1歳ずつの細かな定年の設定が可能ですが、一般的に多い5歳ずつのパターンで考えても、

  • 60歳定年
  • 65歳定年
  • 70歳定年
  • 定年なし

 など、バリエーションが豊富です。

 60歳定年の会社では、いったん60歳で定年退職を迎え、退職金も受け取ったのち、改めて契約社員などとして再雇用される制度が一般的です。

 もちろん、再雇用を希望せず、そのまま退職することも自由ですが、もし、あなたに十分な退職金や貯蓄があるとしたら、「いったん仕事を辞めてのんびりしたいなぁ」などと思っていないでしょうか?

 その考え方、もしかすると危険かもしれません。

定年退職後のブランクで最悪のシナリオに

 多くの企業は、応募者の直近のブランクを気にします。

 特にシニアについては、直近で長いブランクがある人材を採用したがりません。若く元気なシニアが増え、シニアが働くことが一般的になったとはいえ、「シニアは使えなさそう」と考える会社もまだ多く、また、シニアは他の年齢よりも即戦力であることが求められるため、直前の経験やブランクが気にされやすいのです。

 妊娠・出産や子育てといったライフイベントや、大きな病気・ケガなどがない限り、60歳未満の人で長いブランクがあるということはあまりありません。収入源がないまま、長い期間を過ごすのは、難しいでしょう。

 しかし、60歳以上の方の場合はブランクが空きやすくなります。

 60歳定年が見直されてから日が浅い上、冒頭のとおり、現在でも「60歳で定年、その後は再雇用」という企業も少なくありません。また、60歳定年の場合、60歳で退職金が出ますし、再雇用の契約も結ばずにそのまま退職する自由もあります。

 そのため、60歳を一区切りに「ちょっとのんびりしようか」と思う方も多いのです。

 60歳定年が当たり前で、年金も60歳からもらえた時代には、そうした考えで60歳を境に悠々自適な生活を目指し、現役時代にはできなかった趣味や旅行、家族との時間を楽しむ生活を楽しむこともごく普通のものでした。  もちろん、現在でも貯蓄などの資産が十分にあり、年金も公的・企業・私的を含めて金額に余裕のあるシニアはそうしたライフプランを描けるでしょう。

 しかし、今や年金の支給開始は65歳。2019年には、年金だけでは老後の生活に2000万円足りないという報告が金融庁から出され、いわゆる「2000万円問題」となるなど、これまでの老後の生活とは大きく様変わりしています。

 そんな中、60歳で退職し「ちょっとのんびり」してキャリアにブランクを空けてしまうことは、最悪のシナリオにもつながる危険があるのです。


採用担当からの評価はまるでニート同然?

 前述のとおり、企業は応募者の直近のブランクを嫌う傾向があります。シニアについてはなおさらです。

 もし、60歳で退職し、2、3年を無職で過ごしたのち、「やっぱり働きたい」と仕事を探し始めたとしても、今度はなかなか仕事に就けなくなる、という可能性があるのです。

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「やっぱり働きたい」と思っても仕事に就けなくなる可能性がある
(Photo/Getty Images)

 さらに、ブランクの理由が「定年退職」からの「ちょっとのんびりしたい」というものであると、さらに企業の採用担当者からの評価を下げます。

 「家族の介護」がブランクの理由ならば、仮に介護が必要な方が亡くなった場合、また仕事に戻れると判断できますし、「本人の病気」が理由でも、健康面の不安は残るものの、治っているならば問題ないと判断する企業も多いでしょう。

 しかし、「定年退職」から「ちょっとのんびりしたい」という理由は、採用担当者として判断が難しいもの。自然な理由のようにも思えますが、「やっぱり働きたい」となったらもう“再発”しないとも言えず、採用担当者によっては「やる気がない・仕事への熱意がない(失った)」と判断されかねません。

 近年は60歳以降の転職・再就職も、以前よりだいぶ盛んで一般的なものとなりましたが、それでも若い方よりも就職が難しいことに変わりはありません。シニアの再就職がただでさえ難しいところにブランクを空けてしまうと、どんどん次の仕事に就きづらくなってしまいます。

 そもそも、シニアの再就職は、すぐには決まりにくく、時間もかかるもの。60歳の定年退職からすぐに次の仕事を探し始めたシニアでも半年や1年、仕事が見つからないという方も珍しくありませんが、ブランクが空くと仕事が見つからない期間がどんどん伸びてしまいます。

 では、仕事が見つかるまでのつなぎや、とりあえずの仕事として、希望とはまったく違う仕事内容や条件の求人に応募するのはどうなのでしょうか?

 これも次のキャリアには活かしにくく、避けたい選択肢です。

 60歳を過ぎると求人自体が減り、どうしても希望の職種や条件を諦めなければならないケースも多くなります。しかし、経験・スキルが連続しない仕事を転々としたり、極端に条件の悪い仕事に就いてしまったりすると、そこから希望の職種・条件に戻すことはさらにハードルが高くなります。

 60歳以降の働き方は、以前と比べ若い世代と変わらないものに変化しています。そのため、転職・再就職の際の有利・不利も、若い方とあまり変わりません。

 定年後、ブランクの空いたシニアが不利になるのは、言い方は悪いですが、卒業後に理由もなく仕事に就いていなかった若者が就職で不利になるのと同様です。また、違う仕事を転々としたり、非正規雇用が長い若者が希望の職に就きづらくなったりすることと同じことが、シニアの再就職でも起きているのです。

【次ページ】定年後のブランクで給付金ももらえなくなる?

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