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- 2025/05/30 掲載
143億円の大赤字…それでもヤマトが「空飛ぶ宅急便」を続けるワケ、幹部の本音に迫る
連載:北島幸司の航空業界トレンド
航空会社勤務歴を活かし、雑誌やWEBメディアで航空や旅に関する記事や連載コラムを執筆する航空ジャーナリスト。世界の航空の現場を取材し、内容をわかりやすく解説する。テレビ、ラジオの出演経験もあり、航空関係の講演を随時行っている。ブログ「Avian Wing」の他、エアラインなど取材対象の正式な許可を得たYouTube チャンネル「そらオヤジ組」も更新中。大阪府出身で航空ジャーナリスト協会に所属する。
「空飛ぶ宅急便」ヤマトHDのフレイターとは?
貨物専用機であるフレイターは、ヤマトHDが展開する5つの主要事業のうち、基幹領域であるエクスプレス事業に位置付けられており、高速かつ安定的な輸送サービスの提供を通じた新たな付加価値の創出を目指している。本事業では、同社がリース導入したエアバスA321P2F型の貨物専用機を活用し、JALグループのスプリング・ジャパンが運航を担う。持続可能かつ強靱(きょうじん)な物流ネットワークの構築を目的に、新たな輸送モードとして運用されている。
具体的には、成田・羽田の両空港を首都圏のハブとし、新千歳・北九州・那覇の各空港を結ぶ長距離ルートを3機体制で1日13便(2025年夏スケジュール)運航することで、高頻度かつ安定した輸送網を構築。
これにより、迅速な物流ニーズへの対応と新規需要の獲得、地域産業の活性化に加え、輸送品質の継続的な向上が期待されている。
営業利益は大幅減……ヤマトHDの決算
次に、ヤマトHDの2025年3月期連結決算を見ていこう。営業収益は1兆7,626億円と、前期比0.2%の微増となった。これは、投函サービス収入の減少を、宅急便収入の増加およびM&Aによる法人事業の拡大で補った結果である。
営業利益は142億円と、前期比64.5%の大幅減。中期経営計画に基づく先行投資が主因とみられる。経常利益は195億円で前期比51.6%減少したが、投資有価証券および不動産の売却益を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は379億円と、前期比0.8%の増加を確保した。
2026年3月期に向けては、営業収益1兆8,800億円、営業利益400億円への回復を見込み、事業ポートフォリオの最適化および財務基盤の強化を進める構えだ。
本稿の要となるフレイター事業に関する決算の詳細については、次ページで詳述する。 【次ページ】“大赤字”のフレイター事業……幹部に聞いた「今後」
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