- 会員限定
- 2023/03/24 掲載
過去10年で2.5倍に…急増する「外国人労働者」受け入れ再考の時 日本人の賃金との関係性
10年で4倍に 急速に増え続ける「外国人労働者」
厚生労働省「外国人雇用状況」では、外国人労働者の雇用状況を調べている。日本では法令に基づき、外国人労働者を雇う事業主はその在留資格などを確認した後ハローワークに届け出ることが義務付けられているのだ。同データは事業主に雇用される外国人労働者の届け出件数を集計したものになる。データをみると、外国人労働者はここ10年ほどで急速に増加していることがわかる。2020年、2021年は新型コロナウイルスの感染拡大によってその人数は横ばい圏内で推移したが、足元では2022年で182.3万人、労働者に占める割合は2.7%と再び増加基調に転じている。
つまり、この10年超でその数は4倍近くになっており、急増といえる。また、この数字があらわしているのは雇用されている外国人の人数である。2022年時点で中長期在留者数は約300万人存在しており、非雇用者や事業者の申告漏れなども含めれば、多くの外国人が日本で働いていると推察される。
外国人労働者が最も多い 上位3職種
外国人雇用状況から外国人労働者はどのような業種で働いているかを調べてみると、製造業が48.5万人、サービス業が29.5万人、卸・小売業が23.8万人、宿泊業・飲食サービス業が20.9万人などとなっている。総務省「労働力調査」から各産業で外国人労働者の占める比率を算出すると、サービス業が6.4%、宿泊業・飲食サービス業が5.5%、製造業が4.4%などとなる(図表2)。
外国人労働者の絶対数が多く、就業者に占める比率も高い業種はサービス業、製造業、飲食・宿泊業などとなる。彼ら/彼女らは高度な仕事についているのだろうか。外国人労働者が受け取る賃金の額をみれば、こうした人々のスキルについても推察することができる。
不足する労働力をほてんする安い労働力
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」では、日本人の賃金状況と合わせて令和元年から外国人の賃金状況も調査している。同調査によると、一般労働者に絞ってみれば、2021年の外国人労働者の年収は338万円となる。これは調査全体の489万円に対して3割ほど低くなっている。産業別にみると、特に差が大きいのは建設業である。外国人労働者のうち建設業で働く人の年収は278万円と建設業労働者の平均賃金水準を100とすると、その比率は51.7%とおおむね半分となる。製造業も同様に292万円と製造業全体と比較するとだいぶ安い。卸・小売や医療・福祉についても明らかに安い水準となっていることがわかるだろう。
一方、教育・学習支援業はこれらの業種とは様相がかなり異なっている。外国人の年収は629万円とむしろ日本人より高くなっており、この業種については高度な外国人が流入していると考えられる。
ただ、こうした結果を総合的にみてみると、現状、日本の外国人労働者は日本人にはできないような仕事に熟練労働者として従事しているという感じにはみえない。それよりも、日本の各産業で不足する労働力をほてんするための非熟練労働者として来日し、安い労働力として働いているという姿がその大半なのではないだろうか。 【次ページ】外国人労働者を受け入れ過ぎると日本人の賃金は上がらない
関連コンテンツ
PR
PR
PR