• 会員限定
  • 2023/08/14 掲載

マイナ保険証は誰のため? なぜ政府は普及を急ぐ? 理解できない“不合理”政策の謎

連載:野口悠紀雄のデジタルイノベーションの本質

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
記事をお気に入りリストに登録することができます。
政府はマイナ保険証(マイナンバーカードの健康保険証利用)を有していない人に「資格確認書」を交付する。これは、現在の保険証と実質的に同じものだ。しかし、発行にかかる事務量は大変なものになる。問題はそれだけではない。面倒な上にトラブル続出でも、政府はなぜここまで執着するのか。
執筆:野口 悠紀雄
photo
問題だらけのマイナ保険証政策。迷走の末に現れたのが資格証明書
(出典元:Gints Ivuskans / Shutterstock.com)

「資格確認書」は今の保険証と“同じ”

 健康保険証の廃止問題に関して、岸田首相は8月4日、廃止時期の判断を2023年の秋以降に先送りするとした。そして、マイナ保険証を持ってない人すべてに対して、「資格確認書」を交付する方針を示した。

 資格確認書について、これまでは本人の申請に基づき、有効期限1年を限度として発行するとしていた。この方針を変更し、マイナ保険証を保有していないすべての人に対して、申請によらずに交付する。有効期限は5年を超えない期間にする。

 簡単に言えば、健康保険証を廃止し、その代わりにそれと実質的にはまったく同じものを、資格確認書という名前で発行するということだ。

画像
なぜ政府は執着するのか? マイナ保険証はデメリットが明確だが…
(出典元:umaruchan4678 / Shutterstock.com)

 資格確認書の発行は1回限りではなく、5年の有効期限を迎えるたびに、新たな確認書を発行することになるようだ。

 後期高齢者保険では健康保険証の有効期限は原則1年だから、その有効期間が来るたびに発行されるのだろう。組合健保の場合、現在は、一度保険証を獲得すればそれをずっと使えるが、それを5年ごとに発行することになるのだろう。つまり、現在ある保険証と同じものを発行するのだが、その頻度が現在とは違うものになるということのようだ。

 なぜこのような方式に変更する必要があるのだろうか? 今の保険証のままでいいのではないだろうか? なぜこんな面倒なことをするのか? これは、いたずらに混迷を広げる処置としか思えない。

事務量“爆増”という深刻問題

 今回決めた資格確認書の交付によって、事務量が増える。

 現在、マイナ保険証に切り替えている人は、約6500万人と言われる。今後マイナ保険証への切り替えがさらに増えるかもしれないが、資格確認書で済むなら、それで良いと考える人も増えるだろう。半面、マイナ保険証に後で述べるような問題があることから、すでに切り替えている人も、それを取り消して、資格確認書にするかもしれない。

 そのため、発行件数が数千万件になる可能性がある。そのための事務量は大変なものになる。組合健保に関しては、現在より発行頻度が多くなるので、この問題は深刻だ。

 しかも、現在の保険証のように全員に発行するのではなく、マイナ保険証を持っていない人に対してだけ発行するのだから、マイナ保険証を持っているかどうかの確認が必要になる。この確認をどのように行うのだろうか?

 このための事務手続きは、大変なものだろう。その過程で混乱が発生し、誤りが発生する可能性は大きい。

 以上は資格確認書発行者の問題だが、医療機関においても問題が生じる。マイナ保険証と資格確認書の2系列で問題が生じることになり、現在よりも複雑な流れになってしまう。これをうまく処理できるだろうか?

 なお、資格確認書の場合は、本人負担額がマイナ保険証の場合より高く設定される予定だ。寝たきりなどでマイナンバーカードを取得できない人に対して、なぜこのようなペナルティを課すのか、理解できない。 【次ページ】資格確認書の方が安全?「マイナ保険証のリスク」とは

関連タグ タグをフォローすると最新情報が表示されます

関連コンテンツ

あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます