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  • 2023/08/14 掲載

マイナ保険証は誰のため? なぜ政府は普及を急ぐ? 理解できない“不合理”政策の謎

連載:野口悠紀雄のデジタルイノベーションの本質

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政府はマイナ保険証(マイナンバーカードの健康保険証利用)を有していない人に「資格確認書」を交付する。これは、現在の保険証と実質的に同じものだ。しかし、発行にかかる事務量は大変なものになる。問題はそれだけではない。面倒な上にトラブル続出でも、政府はなぜここまで執着するのか。
執筆:野口 悠紀雄

執筆:野口 悠紀雄

1940年、東京に生まれる。 1963年、東京大学工学部卒業。 1964年、大蔵省入省。 1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。 一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを歴任。一橋大学名誉教授。
noteアカウント:https://note.com/yukionoguchi
Twitterアカウント:@yukionoguchi10
野口ホームページ:https://www.noguchi.co.jp/

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問題だらけのマイナ保険証政策。迷走の末に現れたのが資格証明書
(出典元:Gints Ivuskans / Shutterstock.com)

「資格確認書」は今の保険証と“同じ”

 健康保険証の廃止問題に関して、岸田首相は8月4日、廃止時期の判断を2023年の秋以降に先送りするとした。そして、マイナ保険証を持ってない人すべてに対して、「資格確認書」を交付する方針を示した。

 資格確認書について、これまでは本人の申請に基づき、有効期限1年を限度として発行するとしていた。この方針を変更し、マイナ保険証を保有していないすべての人に対して、申請によらずに交付する。有効期限は5年を超えない期間にする。

 簡単に言えば、健康保険証を廃止し、その代わりにそれと実質的にはまったく同じものを、資格確認書という名前で発行するということだ。

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なぜ政府は執着するのか? マイナ保険証はデメリットが明確だが…
(出典元:umaruchan4678 / Shutterstock.com)

 資格確認書の発行は1回限りではなく、5年の有効期限を迎えるたびに、新たな確認書を発行することになるようだ。

 後期高齢者保険では健康保険証の有効期限は原則1年だから、その有効期間が来るたびに発行されるのだろう。組合健保の場合、現在は、一度保険証を獲得すればそれをずっと使えるが、それを5年ごとに発行することになるのだろう。つまり、現在ある保険証と同じものを発行するのだが、その頻度が現在とは違うものになるということのようだ。

 なぜこのような方式に変更する必要があるのだろうか? 今の保険証のままでいいのではないだろうか? なぜこんな面倒なことをするのか? これは、いたずらに混迷を広げる処置としか思えない。

事務量“爆増”という深刻問題

 今回決めた資格確認書の交付によって、事務量が増える。

 現在、マイナ保険証に切り替えている人は、約6500万人と言われる。今後マイナ保険証への切り替えがさらに増えるかもしれないが、資格確認書で済むなら、それで良いと考える人も増えるだろう。半面、マイナ保険証に後で述べるような問題があることから、すでに切り替えている人も、それを取り消して、資格確認書にするかもしれない。

 そのため、発行件数が数千万件になる可能性がある。そのための事務量は大変なものになる。組合健保に関しては、現在より発行頻度が多くなるので、この問題は深刻だ。

 しかも、現在の保険証のように全員に発行するのではなく、マイナ保険証を持っていない人に対してだけ発行するのだから、マイナ保険証を持っているかどうかの確認が必要になる。この確認をどのように行うのだろうか?

 このための事務手続きは、大変なものだろう。その過程で混乱が発生し、誤りが発生する可能性は大きい。

 以上は資格確認書発行者の問題だが、医療機関においても問題が生じる。マイナ保険証と資格確認書の2系列で問題が生じることになり、現在よりも複雑な流れになってしまう。これをうまく処理できるだろうか?

 なお、資格確認書の場合は、本人負担額がマイナ保険証の場合より高く設定される予定だ。寝たきりなどでマイナンバーカードを取得できない人に対して、なぜこのようなペナルティを課すのか、理解できない。 【次ページ】資格確認書の方が安全?「マイナ保険証のリスク」とは

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