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- 2023/08/14 掲載
【メガ・地銀62行のDX調査ランキング】三井住友?MUFG?みずほ?顧客接点が優れた銀行
前編はこちら(この記事は後編です)
顧客接点のデジタル化において求められる最適なSEOとは?
「地銀62行・メガバンクDX推進状況レポート2023」の「Webサイト体験」に関する調査では、広島銀行・八十二銀行・百十四銀行・肥後銀行などの地銀の健闘が目立っていた。調査のもう1つの項目「顧客接点のデジタル化」では、どのような結果が出たのだろうか。
顧客接点のデジタル化で、まず調査したのは「スマートフォンの住宅ローンのページで基本的なSEOが実施できているか」である。
65点以上であれば、最適化がなされていると評価されるが、65点以上をクリアしているのは20行にとどまった。メンバーズルーツカンパニーの三角恭平氏は、銀行のサイトにおいて基本的なSEOは不可欠と語る。
「一部の銀行では、SEOで最も重要になるタイトルやディスクリプションが、指名検索流入に最適化されていないページがありました。銀行のWebサイトを訪れる多くの人は、『住宅ローン』のような広いワードではなく、『▲▲銀行△△ローン』のような指名検索を行っていると考えられます。そこで他の外部サイトが表示されると、機会損失になるかもしれません。初歩的なことですが、基本的なSEOは不可欠です」(三角氏)
地銀の中には、住宅ローンの紹介ではなくて、住宅ローン関連の商品をリンク一覧として並べているだけのページが、最初に表示されるケースもあったとのことだ。
「ただ、商品が並んでいるだけでは、商品の魅力は伝わりません。いかに魅力を伝えて、離脱を防ぐか、そしてさらに次のページで商品の詳細を読んでもらうかが重要です。SEOとともに、ユーザーがどのような意図でそのページを検索しているのかを考えた上でサイトを設計し、情報を発信することが、非対面接点における接客においては重要だと考えます」(三角氏)
シミュレーション機能を充実させるWeb設計のポイントとは?
顧客接点のデジタル化では、シミュレーション機能が整備されていることも重要なポイントだ。ローンシミュレーションの可能な地銀は62行中62行、つまりすべての地銀で可能という結果が出た。ローンシミュレーションの結果について、メンバーズルーツカンパニーの佐々木悠花氏がこう分析している。
「特に投資信託シミュレーションは、前回調査の23行から34行へと大幅に増えています。シミュレーション機能が充実してきた要因は、ネットで金融商品を調べるユーザーの割合が増加したことでしょう。いきなり店舗に行って投資信託の相談をするのではなく、『まずネットで調べてみよう』というユーザーが増えたため、シミュレーション機能を充実させる流れになったと考えられます」(佐々木氏)
若年層の顧客への対応という観点でも、シミュレーション機能の充実は有効である、と佐々木氏は指摘している。シミュレーション機能に関しては、前回の調査では行われなかった項目が追加されている。シミュレーション機能が外部サービスによるものか、自社サービスによるものかという調査である。
「シミュレーションについて調べる過程で、外部サービスと自社サービスで分かれていたため、この項目を追加しました。外部サービスに関しては、複数行で同じサービスを導入しているケースがあるなど、それぞれの銀行の特徴が表れていると感じました」(佐々木氏)
投資信託シミュレーションでは、外部サービスが27行、自社サービスが7行である。ライフプランシミュレーションでは、外部サービスが12行、自社サービスが10行という結果だ。
「投資シミュレーションを実装している銀行の数は、大幅に増えています。外部サービスであれば、予算が少ない場合でも導入しやすいからでしょう。外部サービスはコストが低く、開発する必要がないため、すぐ導入できるメリットもあります。まだ導入していない銀行も、今後導入しやすいと言えるでしょう」(佐々木氏)
各行の事情・状況に応じて、外部サービスか自社サービスかを選択していくことが必要だろう。外部サービスのメリットはコストの安さ、導入のしやすさ、早さだとすると、自社サービスのメリットとはどのようなことだろうか。三角氏がこう説明する。
「自社サービスのメリットとしてまず挙げられるのは、自行の商品に沿ったカスタマイズのしやすさです。シミュレーション機能実装の目的は、投資信託シミュレーションの場合は、自行の投資信託を使ってもらうこと、ライフプランシミュレーションは、自社の他の運用商品につなげることでしょう。ゴールを意識して設計できるのは、自社サービスならではのメリットだと考えます」(三角氏) 【次ページ】スタンダードになりつつあるスマホアプリのサービスとは?
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