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- 2025/05/28 掲載
海外拠点ほぼ赤字でも…横浜銀・千葉銀が「あえて攻め込む」異例の金脈マーケット
連載:「地銀」ビジネス最前線(第5回)
株式会社マリブジャパン代表取締役。日本金融学会会員。三菱銀行、シティグループ証券、シティバンクで、主に銀行クレジットアナリスト、富裕層向け資産運用アドバイザーとして活躍。その後、独立。著書に『銀行ゼロ時代』(朝日新書)、『人生100 年時代の銀行シニアビジネス事例』(近代セールス社)、『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』(講談社+α新書)など。
【図解】海外拠点を閉鎖した…地銀の事例まとめ
地銀の海外拠点の閉鎖が相次いでいる。2020年以降、16もの地銀が19もの拠点を閉鎖しており(図表1)、南都銀行、みなと銀行、みちのく銀行、山梨中央銀行では閉鎖により、海外拠点はすでにゼロとなった。地銀の主な海外拠点は、19支店77事務所9現地法人(コンサルティング会社など)にまで減少している。
海外でも預金・為替・貸出といった銀行業務を行うことが許されている「国際統一基準行」は、実は地銀97行中、群馬銀行、千葉銀行、横浜銀行、八十二銀行、静岡銀行、滋賀銀行、中国銀行、山口銀行、伊予銀行、名古屋銀行の10行に過ぎない(海外支店数も19だ)。
残りの87行は、銀行業務を行う海外支店が持てず、銀行業務が出来ない海外駐在員事務所を持つ「国内基準行」なのである。
海外駐在員事務所では、現地の情報収集、引先企業の海外進出サポートや商談会など販路開拓サポート、現地視察のアテンド、現地関係当局や提携金融機関との連絡などを行っているものの、海外駐在員事務所は、現地スタッフを含め2名といった拠点も少なくない。
北海道銀行も影響受けた… 海外拠点の閉鎖が進む“ある要因”
それでは、駐在員事務所を中心に海外拠点の閉鎖が進む要因はどこにあるのか。最大の要因はデジタル化の進展にある。スマホ経由であらゆる情報が瞬時に手に入り、Webでの会議も可能となったデジタル社会において、地銀が、人件費や物件費など多大なコストをかけて、海外に情報収集拠点を持つ意味合いが大きく低下しているのだ。
そのほか、地政学リスクの影響も大きい。閉鎖された19拠点のうち、約半数は中国だ。人件費高騰に加え、習近平政権下の「香港国家安全維持法」制定や、反スパイ法違反として日本人ビジネスマンなどが相次いで拘束されるなど、日本企業にとって経済活動する上での環境が悪化している。
北海道銀行は、地銀唯一のロシア拠点である駐在員事務所を2カ所持ち、地元取引先のロシア進出支援や商談会などで成果も上げてきた。しかし、ロシアによるウクライナ侵略により、2023年3月末にはユジノサハリンスク駐在員事務所が閉鎖された。また、2025年5月末には中国の瀋陽駐在員事務所を閉鎖予定だ。
海外拠点閉鎖後の選択肢(1):滋賀銀、みなと銀の例
多くの地銀では、海外拠点閉鎖後の対応として、他の海外拠点や本部の関連部署などが窓口となり、海外進出支援や販路拡大支援など業務を引き継ぐとともに、ネットによる非対面での対応や現地の業務提携先などを活用するという。
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