- 会員限定
- 2024/03/25 掲載
マイナス金利解除で「経済と賃金」はどうなる? 努力をやめた日本の「新しい姿」とは
・日銀のマイナス金利解除で何が変わる?「デフレ脱却宣言=生活良くなる」ではない理由(https://www.sbbit.jp/article/fj/136098)
世界最後の「マイナス金利」解除
現在の政策金利は、マイナス0.1%だ(金融機関が日銀に預ける当座預金の1部にこれを適用してきた)。これを0.1ポイント以上引き上げる。世界の中央銀行は、かつて導入したマイナス金利政策から、この数年で脱却した。このため、惰性的にマイナス金利政策を続けているのは、世界中で日銀だけになっていた。今回の日銀の決定によって、マイナス金利政策を採用する中央銀行は、世界中からなくなる。
なお、日銀は、マイナス金利解除と合わせて、長短金利操作(イールドカーブコントロール:YCC)を停止する。
また、上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)等の新規購入も終了する。このような資産の直接的な購入も、世界の中央銀行の中で日銀だけが行ってきたことであり、これまでOECD(経済協力開発機構)などから批判を浴びてきた。こうしたものを終了するのは、当然のことだ。
円高で起きる「2つのこと」
インフレに対処するため、2021年に米国のFRB(連邦準備制度理事会)が金利の引き上げに転じて以来、世界の中央銀行は急ピッチで利上げしてきた。こうした世界の趨勢に逆らって、日銀は、かたくなに金融緩和を続けてきた。このため、異常なまでの円安が進展した。今回の措置によって、この動きが止まると考えられる。そして、さらに円高が進む可能性がある。これは、日本経済にさまざまな影響を与えるだろう。
第二に、輸入物価が低下し、国内物価上昇率が低下する。
これらは、一般には望ましくないことだと考えられており、このため、日銀は「金融緩和を継続する」というメッセージを流し続けてきた。しかし、YCCを止めれば、長期金利が上昇することは避けられず、日米金利差の縮小も避けられない(FRBが利下げに転じれば、さらに縮小する)。したがって、円高も避けられない。 【次ページ】そもそもなぜ、金融緩和を解除するのか?
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR