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- 2025/05/09 掲載
「中途半端なホワイトカラー」が最も危ない…年収300万円台への転落が加速するワケ
一番危ないのは「中途半端なホワイトカラー」
日本のホワイトカラーの収入格差は、職種と企業の両面で二極化が進んでいます。データ分析やAI開発などのデジタル人材、M&Aや経営企画などの専門職に加え、総合商社や工場自動化、半導体関連機器などの高収益企業に勤める社員の年収は上昇基調に乗っていますが、一方で、一般的な事務職や収益力に課題を抱える企業の従業員の収入は伸び悩み、格差は拡大傾向にあります。
その要因は、グローバル競争下での企業間格差が、個人の収入にも影響を及ぼしていることにあります。報酬水準で見て「中間層」あたりに位置していた大量の人たちの年収が下がり、中間層のポジションが次第に下方化し始めている。この流れは今後も加速するものと思われます。
この三十数年、労働市場を見続けてきた私からみても、これまでになかった大きな変化です。35歳以上のミドル世代にとって特に切実ですが、それ以下の若い世代にとっても時間の問題であり、他人事で済まなくなってきます。
かつて高年収だった人たちですら、年収200万円台、300万円台になっていく流れはますます加速していくでしょう。自分の得意分野を活かせる正社員ホワイトカラーの仕事に就くことができず、非正規の時給の仕事、経験したことのない作業を中心とする仕事に就くことになった人たちが増え始めているのです。
一方で、数は減っているけれど、年収を大きく上げる人たちもいます。たとえば、新たな商品やサービスを生み出したり、業務プロセスの革新のため、大量に蓄積されたデータ(ビッグデータ)を分析するデータサイエンティストなどといった、スペシャリスト人材です。
端的に言えば、ホワイトカラーが減っていき、アルバイトやパート、現場職の構成比が増え、報酬水準の分布が全体的に以前より下ぶくれになってきているのです。
これから先の未来を予想すると、中途半端なホワイトカラーは、どんどん下方に押し流されていくリスクがあります。
とりわけ、この流れの直撃を受けるのは、1990年代から2010年代に総合職で入社した営業職や事務職などのホワイトカラーの人たちです。
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