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  • 2023/01/23 掲載

【実録】就業意欲のある50代、定年後どうなった?シニア就業の意外な結果と本音

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70歳までの就業機会の確保が企業の努力義務となるなど、徐々に働き続ける年齢は上昇しており、企業制度はここ10年で大きな変化の様相だ。その渦中で、16年前「65歳以降仕事をしたい」と考えていたシニアの現在の就業状況はどうなっているのだろうか。また、その意外な就業目的とは。厚労省の調査、シニアジョブ独自のアンケート結果を紐解く。

執筆:シニアジョブ 代表取締役 中島康恵

執筆:シニアジョブ 代表取締役 中島康恵

50代以上に特化した人材紹介、人材派遣を提供するシニアジョブ代表取締役。1991年、茨城県生まれ。少年~学生時代はサッカーに打ち込み、J1のユースチームで活躍。大学在学中に仲間を募り、シニアジョブの前身となる会社を設立。2014年8月、シニアジョブ設立。当初はIT会社を設立したが、シニア転職の難しさを目の当たりにし、シニアの支援をライフワークとすることを誓った。売上前年比が最高で300%に及ぶ成長を続け、現在に至る。専門紙を中心にシニアの転職・キャリアプラン、シニア採用等のテーマで連載・寄稿中。

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シニア就業環境の激変の当事者像に迫ってみたい
(Photo/Getty Images)

「65歳以降仕事をしたい」人は、16年後どうなった?

 つい最近まで60歳定年だったのに、いつの間にか老後も働かなければならない世の中になっている。

 2001年から厚生年金の定額部分の受給開始年齢は段階的に上がってきているため、20年前から徐々に今の形に近づいているのだが、実際の企業の制度などは、確かにここ10年ほどで急激に変化した印象だ。

 この時期に実際に60代を迎えた当事者たちはどのような変化を感じたのだろうか。厚生労働省が追った調査データをもとに、シニア就業環境の激変の当事者像に迫ってみたい。

 厚生労働省が2022年11月に発表した「第17回中高年者縦断調査(中高年者の生活に関する継続調査)」は、団塊の世代を含めた全国の中高年男女を追跡、健康・就業・社会活動について、意識や事実の変化の過程や関連性を調査したものである。

 対象者は、2005年10月末現在に50~59歳だった全国の男女。その対象者が66~75歳となった2021年11月まで調査を続けた。ちなみに最終的な集計の対象となったのは、第1回から第17回まですべての調査の集計が可能な1万6579人である。

 まず、就業状況がどうなったかを見ていこう。50~59歳だった第1回調査時に「65歳以降仕事をしたい」と答えた人が、66~75歳時点で実際に仕事をしているのか、厚労省の資料では、男女と年齢で分けたグラフで示している。これによると男性の66~69歳で66.6%、70~74歳で51.7%、75歳で43.9%、女性の66~69歳で53.8%、70~74歳で39.6%、75歳で34.0%となっている。

 いずれも男性の方が働いている割合が高いが、75歳の女性でも3割以上が働いている。60代後半の男性では6割以上が職を持っている状況だ。

画像
性、年齢階級別にみた第1回調査時に「65 歳以降仕事をしたい」と答えた者の第17回の仕事の有無
(出典:厚生労働省

 では、仕事以外の状況はどうだろうか。社会参加活動の状況について、厚労省資料の中では、「男女とも、社会参加活動の状況が、「趣味・教養」、「地域行事」などで減少、「『スポーツ・健康』はほぼ横ばい」と表現している。

 だがこれは、減少したタイミングに注意が必要だ。減少したのは2020年と2021年でそれ以前は横ばいが続いていた。つまりこれは、コロナ禍の影響であって年齢を重ねた影響でない可能性も高い。「趣味・教養」、「地域行事」などへの参加機会は減ったが、「スポーツ・健康」についてはコロナの中でもどうにか維持していると見ることができるだろう。

 むしろ、「高齢者支援」、「子育て支援・教育・文化」といった活動は、それ以前から活動割合が極めて低い。これだけを見ると、地域のいわゆる「共助」の担い手としてシニアに期待することは難しい印象がある。

75歳の約半数が利用、スマホ普及率の高さ

 社会参加活動の状況から、シニアはコロナ禍でも「スポーツ・健康」の活動を維持したという仮設を挙げた。実は健康の状況についての回答でも、健康と運動の関連性が示されている。

 第1回調査から継続して健康維持のために心がけていることを尋ねた質問で、健康状態が第1回からずっと「よい」と思っている人と、第1回から第17回までに「よい」・「わるい」を繰り返しているような「その他の変化」に該当する人の「差」を見ると、「適度な運動をする」の回答の差が最も大きい。

 もちろん、心がけているすべての項目において、健康状態がずっと「よい」人は回答が多く、意識の高さが感じられるし、「適正体重を維持する」、「ストレスをためない」などでも回答の差が見られるため、数値的な身体の状態からメンタル面まで満遍なく心がけている様子がわかる。

 ちなみに第1回からずっと「よい」と回答した人が、調査回を負うごとに減少している一方で、「よい」・「わるい」を繰り返している「その他の変化」の回答者は増加していっている。これは集計の対象者全体で、徐々に健康な人が減っていることを示していると言える。

 補足になるが、この調査ではさらに、情報通信機器の使用状況についても調べている。それによると、携帯電話、スマートフォン、タブレット、パソコンなどの情報通信機器をふだん使用している人は、91.8%におよぶ。パソコンを使う人は男性41.1%、女性16.8%と男女で差があるが、スマートフォンは男女ともに6割以上、総数で62.8%がスマートフォンユーザーとなっている。

 私も求人企業からの質問やメディアの取材で、「シニアはインターネットやデバイスを問題なく使えるのか?」という質問をよくされるが、75歳に限っても約半数がスマートフォンを使用し、2割がパソコンを使用している。

【次ページ】求人誌、新聞広告を利用するシニアはわずか〇%以下

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