- 2026/09/08 06:30 掲載
メガバン過去最高益でも地銀は「PBR1倍割れ…」、生き残りを分ける“2つの条件”(3/4)
生き残りの条件1:地銀のIR、投資家に選ばれない弱点とは
資本市場改革の進展もあって、我が国全体として国内外の投資ファンドなどの活動が活発化しているが、近年は、投資ファンドなどによる地銀株式の取得も増えている。政策保有株の縮減も進められる中、株主の変化や安定株主の確保という観点でも、資本市場を意識した取り組みが重要となっている。地銀を取り巻くビジネス環境の厳しさが増す中、長期的なビジネスの持続性や成長性を示すことができなければ、長期投資を行う投資家には選ばれにくい。後述する成長戦略がまずもって重要となるが、IRを通じて、投資家に対して自社のビジネスの持続性・成長性などをしっかりと伝えていくことが必要となる。
IRの強化においては、投資家属性などに応じた、戦略的な対応が重要となる。たとえば、機関投資家と個人投資家では重視する情報・指標などは異なり、適したアプローチも異なる。
地銀は、メガバンクに比べて株主に占める個人の割合が高い傾向があり、機関投資家だけでなく、個人投資家に対するIRも重要となる。ターゲットとする投資家のニーズなどを踏まえて、戦略的にIRに取り組んでいく必要があるだろう。
株価は金利連動にすぎない? “英文開示”に表れた地銀の遅れ
また、IRの強化によって、企業価値評価の改善も期待できる。足元で地銀の株価は上昇しているが、おおむね金利上昇に連動しており、各行の収益力強化策などを反映したものとは言いがたい。近年、地銀ビジネスは多様化しており、IRを通じて投資家における地銀ビジネスに対する理解が深まれば、企業価値評価の改善につながる可能性がある。近年は、投資家との対話を強化する地銀が増えている。日本取引所が公開している「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に関する開示状況(プライム・スタンダード上場企業)を見ても、地銀は、「機関投資家からのより活発なコンタクトを希望」する割合は他の業種に比べて高い(図表6)。
もっとも、英文開示の割合は低いなど、情報開示などの具体的な対応では遅れも見られる。今後は、ターゲットとする投資家のニーズなどを踏まえた情報開示を充実させるとともに、経営陣・IR部署が連携して投資家との対話を強化していく必要があるだろう。
とはいえ、投資家に伝える「中身」がなければ、IRだけで評価が変わるわけではない。地銀に求められるもう1つの条件は、その中身、すなわち収益力そのものの立て直しである。 【次ページ】生き残りの条件2:「守り」から「攻め」へ、地銀の大転換
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