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  • モーニングスター朝倉智也社長:これからプラットフォーマーでさえ要らない世界が来る

  • 2019/08/08

モーニングスター朝倉智也社長:これからプラットフォーマーでさえ要らない世界が来る

FinTech Journal創刊記念インタビュー

ブロックチェーン、AI(人工知能)の進展により、数々の破壊的イノベーションを起こしてきたプラットフォーマーでさえも不要になるまったく新しい未来がやってくる──。インターネット証券の台頭を黎明期から見守ってきた投信評価機関であるモーニングスター 代表取締役社長 朝倉智也氏はそう断言する。近日『お金の未来年表』を上梓し、そこでお金の未来を解説したという朝倉氏にこの先の金融業界に起きる出来事を予想してもらった。

聞き手:編集部 松尾慎司、構成:吉田育代

聞き手:編集部 松尾慎司、構成:吉田育代

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モーニングスター 代表取締役社長 朝倉智也氏

もうプラットフォーマーも要らなくなるかもしれない

 金融業界ではブロックチェーンやAIがこれから大きく様相を変えていくとみています。これは大きなパラダイムシフトです。

 たとえばブロックチェーンは非中央集権的な取引の仕組みです。みんなで分散して管理されているので、そのうちのひとつがダウンしても、他の箇所で復旧できるので取引の継続性は保たれます。

 これに対して、ホストコンピューターを核とする中央集権的な仕組みは、一見、セキュリティ的には安心感があるかもしれませんが、これがひとたびダウンしたり、速度が低下したりすると参加者全員が大きな被害を受けます。

 また、ブロックチェーンが活用されていくと、ビジネスの構図も大きく変わるとみています。今はプラットフォーマーが全盛で、融資などでもクラウドファンディングなどが注目を集めており、プラットフォームを構築した人がお金を集めてそれを必要とする人に提供するという形になっています。

 しかし、ブロックチェーンを利用すれば、P2P(Peer to Peer あるいは Person to Person)でダイレクトにお金の貸し借りが可能になります。このようにP2Pの台頭は金融業界だけの話ではなく、直接、個人間でクルマや部屋の貸し借りができるUberやAirbnbなども究極的には要らなくなる可能性があるわけです。

 ひところは「プラットフォーマーしか生き残れない」と言われましたが、もはやプラットフォーマーでさえ安泰ではありません。グーグル、フェイスブック、アマゾンなどもこの先どう変わっていくか分かりませんが、今後は違った形のビジネスモデルを持った企業が出てくるかもしれません。

 モーニングスターが携わる資産運用の世界も変わってくるでしょう。今まで資産運用は当然のことですがファンドマネジャーという人間がやっていました。お客さまのお金を集めて、「今は米中貿易摩擦が起きているから、違う国に投資したほうがいいのではないか」「株式市場も下落しそうで、不動産も怖いから債券にしておこうか」といったようなことを、お金を預かった人間が判断しています。

 しかし、人間の判断というのは往々にして間違うものです。そこで注目されているのがインデックス(指数)運用のETF(上場投資信託)という商品ですが、ETFも結局、その仕組み自体を決めているのは人間で、インデックスそのものを決めているのも人間です。

 この部分でさえも、この先はAIが決めていくことになると思います。今は「そんなことはありえない」と思われるかもしれません。そのような運用手法がまだ始まったばかりで、今はファンドマネジャーとAIの運用成績を比較検証できない状況だからです。

 これが5年、10年を経て比較可能になってくると、「AIの成績のほうがいいじゃないか」というふうになってくるかもしれない。そうするとガラッと状況は変わってきます。

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既存のビジネスを自己否定して変革するのは難しい

 なぜこうした未来がありえるのかというと、証券の世界がまさにテクノロジーで一変したからです。20年前というのは、インターネットで金融業をやるなんてあり得ないという状況でした。

 「誰がインターネットで株の取引をするというのか」「インターネットなんて信頼性がない、やはり人が介在しないとダメでしょう」と言われたものです。

 それがわずか20年も経たずに状況が一変したのはご存じのとおりです。個人投資家が株式取引をする場合、ネット専用の証券会社経由がダントツで、9割近い人がネット証券で取引しています。この比率は今後もさらに高まるでしょう。

 既存の対面証券会社も、何度かネットの世界にチャレンジしましたが、あまりうまくいかなかった。やはり既存のビジネスモデルを自己否定して変革するのは難しいのだと思います。ネット証券は大幅に取引手数料を引き下げる一方、営業員をたくさん抱える対面証券会社は手数料をある程度徴収しないと商売にならない。

 既存の対面証券会社はおのずと守旧派が多勢になるので、インターネットで事業を展開しようとしてもうまくいかないのは当然でしょう。ですから、ここを本当に改革できるかどうかがポイントなのです。

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