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- 2019/11/12 掲載
FINOLABとFintech協会のトップが語る、フィンテックの「これから」
フィンテック登場から4年、何がどう変化しているのか
「スタートアップが牽引してきたフィンテックですが、現在は歴史ある金融機関側がこのキーワードに対応し、大きく変化しています。それは、メガバンクのみならず地方銀行までも『デジタルイノベーション』や『デジタルトランスフォーメーション』を冠した組織を立ち上げたことからも明らかです」(柴田氏)
そのうえで柴田氏は、「デジタル領域の取り組みはもはや金融機関の経営の根幹に関わることが取締役会のレベルで認識された印象」と説明。黎明期は、歴史ある金融機関の間で「フィンテックは既存の秩序を破壊する」という見方もあったものの、今や次世代への「変化のプロセスに組み込まれている」と指摘した。
「現在のフィンテック動向について野中氏は、「フィンテック×〇〇」という、他業種との協業事例が数多く登場していると指摘。決済領域では食品業界で独自のペイが始まるなど「コモディティ化」が進んでいる点が喜ばしいと語った。
そのうえで野中氏は、コンシューマー向けの製品やサービスは一巡したのではと指摘。一方で、大きな変化を感じているのは、法人向けなどBtoB領域の金融サービスという。
「直近の1年はファクタリング(売掛債権の買取や売却、譲渡による資金調達)やサプライチェーンファイナンス(電子記録債権を活用する“一括ファクタリング”)、POファイナンス(電子記録債権を活用する受注時点での融資)など、法人向けのサービスが徐々に具体的になり、事例が増えそうです」(野中氏)
フィンテックムーブメントの中で JPモルガン・チェースの動きをどう見るか
続いて議論は、フィンテック領域でさまざまな取り組みを試している米JPモルガン・チェース(以下、JPモルガン・チェース)の動向に移行した。2015年にフィンテックという言葉で新しい時代の到来を最初に公的にレポートしたのもJPモルガン・チェースなら、フィンテック企業との距離の取り方を試行錯誤してきたのも同社だ。柴田氏によると「JPモルガン・チェースはフィンテックムーブメントにおいて非常にシンボリックな存在」だという。
「ジェームズ・ダイモンCEOが『Silicon Valley is coming』と2015年にフィンテック企業を脅威ととらえるような発言をしましたが、しばらく後の株主向けのレターでは『我々はフィンテック企業とうまくやっています』というようなことを書いていて、ずいぶん風向きが変わったと感じました。その後のレターでは『フィンテックを使うかどうかが問題なのではなくて、顧客に対して一番いい体験を提供できるかどうかがポイントだ』と語っています」(柴田氏)
柴田氏はチェースペイに関して、「やってみたけれど顧客体験が向上せず、早めに見極めたと言える」と指摘、これも一つの見識と言えるのではないかと語った。
ただし、JPモルガン・チェースの“見極め”を日本に適用するのは難しいという。日本と米国はマーケットも違い、金融サービスのレベルが違うので単純に比較することはできないからだ。
丸山氏は柴田氏の発言を補足した。
「JPモルガン・チェースは2015年12月、中小企業向けビッグデータレンダーであるフィンテック企業 オンデック(OnDeck)と戦略的提携を発表しましたが、2019年7月には提携解消が明らかになっています。どの領域も可能性を追求するという段階は過ぎ、今や銀行業界の最重要テーマはテクノロジーの目利きや集中する分野の見極めなのかもしれません」(丸山氏)
【次ページ】フィンテックと相性のいいテクノロジーは“ABCDE”
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