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  • 2020/02/18

「銀行発ベンチャー」の内実とは、SMBCグループ最年少社長の“戦い方”

SMBCグループ最年少でSMBCクラウドサインの代表取締役社長に就任した三嶋 英城 氏。同氏は、電子契約のビジネスをどういう戦略で成長させるのか。また、現在の金融機関とオープンイノベーションの関係、GAFAの脅威、これからのフィンテックをどう見ているのかまで、幅広く聞いた。

執筆:井上健語 聞き手・構成:ビジネス+IT編集部 山田竜司

執筆:井上健語 聞き手・構成:ビジネス+IT編集部 山田竜司

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SMBCクラウドサイン
代表取締役社長
三嶋 英城 氏


SMBCクラウドサインの差別化ポイント

 電子契約サービスは、海外も含めて競合は多い。その中で、SMBCクラウドサインの差別化のポイントは何か。また、今後、どのような戦略でビジネスを拡大していくのだろうか。

「電子契約のようなサービスでは、信頼性、継続性がとても重要です。お客さまにとっては『いきなりやめます』となるのが最も困ります。実際に海外のサービスでは特にですが、突然のサービス終了や仕様変更はよくある話です。しかし、SMBCであればそれはない。システム的にも法的にもSMBCがやっているから安心できる。こういった声を現実にたくさんいただいています」(三嶋氏)

 もう1つの違いが販路だ。弁護士ドットコムも含めたベンチャー企業は、どうしてもオンラインのWebプロモーションが中心になる。約400万社ある日本の会社のうち、それが届く企業は限られる。

「銀行は日本各地に支店があって、法人の営業部門があります。ここにはフェイス・トゥ・フェイスの人間関係があり、この販路が使えることは、ベンチャー企業とはまったく異なるポイントです。仮に商品が同じだとしても、この販路の違いは非常に大きいのです。それもあって、電子契約を日本全体に普及させ、日本のペーパーレス化を一気に推進できるのは、おそらく我々だけだと思っています」(三嶋氏)

 とはいえ、これまで紙とハンコを当たり前としてきた企業が、いくらSMBCだからといって、すぐに電子契約やペーパーレスの世界に移行するだろうか。するとしても、相当の時間と労力がかかると考えるのが自然ではないだろうか。

「今から約10年前、重要なシステムを構築するのにAWSをはじめとするクラウドを利用する企業は限定的でした。重要なデータをクラウドに預けることに大きな抵抗があったわけです。それがいまは、クラウドファーストの時代になっています。私は、電子契約でも同じことが起きると思います。もちろん、紙とハンコは残ると思いますが、いずれは最初に電子契約を考える時代になるでしょう。問題は時間です。弁護士ドットコムと三井住友フィナンシャルグループ(以下、SMFG)が組むことで、その時間を一気に短縮できると考えています」(三嶋氏)

金融機関とオープンイノベーションの関係

 現在、SMFGも含めて、金融機関はhoops link tokyoのような施設の運営、ベンチャーとの協業など、オープンイノベーションの取り組みに積極的だ。そこには、金融機関の置かれた厳しい環境があるが、渦中の中心人物である三嶋氏自身は、こうした動きをどう見ているのか。

「やはり、我々も含めて模索段階だと感じます。そもそも、金融機関は100年来、ずっと守りのビジネスをやってきました。いかにミスをしないかを考えてきたわけですから、新しいものを生み出すのは慣れていませんし、文化的にも向いていないのです。したがって、いかに資本力があっても単独では厳しい。だからこそオープンイノベーションであり、求められるのは成功事例です。我々が、その成功事例にならなければなりません」(三嶋氏)

 では、金融機関によるさまざまなオープンイノベーションの取り組みが模索されている現在、三嶋氏が注目している自社以外の取り組みは何か。同氏は生体情報を用いた認証連携サービスを開発・提供する「Polarify」(ポラリファイ)を挙げる。

 Polarifyは、SMFG、NTTデータ、アイルランドのDaon(デオン)の3社のジョイントベンチャーとして、2017年5月に設立された会社だ。

「Polarifyは、指、顔、声などの生体情報を使った認証サービスや、オンラインで本人確認を実現するeKYC(electronic Know Your Customer)を提供しています。生体情報のようなクリティカルな情報を預かる事や、本人確認のような領域は金融機関が得意とする分野です。特にeKYCはキャッシュレス文脈での需要も大きく、時代の流れにも合っており、今後に注目しています」(三嶋氏)

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銀行とベンチャー、文化的な衝突はないのか?

 SMBCクラウドサインは生まれたばかりの若い会社であり、SMBCと弁護士ドットコムの出向者にて構成されている。まったくバックグラウンドの異なるメンバーが集まって、文化的な衝突は起きないのだろうか。

「最初から分かってはいましたが、やはり文化的には両極端です。同じことをしても、SMBC側は『それでは考えが足りない。もっと考えないと……』となりますし、弁護士ドットコム側から見ると『こんなところでなぜ時間がかかるのか……』となるのです。そこは、両方の文化を知っている自分が、バランスを調整しなければならないと感じます」(三嶋氏)

 とはいえ、SMBCクラウドサインの強みは銀行が培ってきた信用にある。したがって、銀行文化を絶対にないがしろにしてはならないとも、三嶋氏は強調する。

「そこは、私が弁護士ドットコム側に、丁寧に説明する責任があると思っています。やはり、自分が立ち上げたベンチャーでゼロからやるのと、銀行のリソースを使ってやるのとではまったく違うわけですから」(三嶋氏)

【次ページ】国内金融機関は、GAFAには対抗できるのか?

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