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  • 2020/07/29

大量プッシュ通知はもう限界、中国ECで広がる「リアル還元型ゲーム」の狙い

連載:中国イノベーション事情

消費者の興味や関心は移りやすく、新鮮さのないサービスは廃れていく。多くの人がスマホにさまざまなアプリを登録しても、毎日アクセス、利用しているアプリは一体どれくらいあるだろうか? 顧客との重要な接点をつなぎ留める方法として、中国のECサービスではアプリに「ミニゲーム」を導入する企業が増えている。その特徴は「現実世界に還元される」ことだ。既存のスマホアプリにはない、ミニゲームの魅力とサービス提供側の思惑を探る。

ITジャーナリスト 牧野武文

ITジャーナリスト 牧野武文

消費者ビジネスの視点でIT技術を論じる記事を各種メディアに発表。近年は中国のIT技術に注目をしている。著書に『Googleの正体』(マイコミ新書)、『任天堂ノスタルジー』(角川新書)など。

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ゲーム内で育てたものが、現実世界に還元されることが特徴だ

中国ECで広がる“リアル還元型”の「ミニゲーム」

 中国のECサービスで、ちょっと不思議な現象が起きている。ECサービスのアプリに続々と「ミニゲーム」が導入されているのだ。

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アリペイアプリ内のミニゲーム「アント庄園」

 アリババの「タオバオ」「Tmall」はもとより、京東(ジンドン)、拼多多(ピンドードー)、蘇寧(スーニン)など、主なECサービスはいずれも複数のミニゲームを導入している。

 しかし、これらのECサービスで提供されるのは、ただのミニゲームではない。

 たとえば、アリババの決済アプリ「アリペイ」に付属している「アント庄園」は、鶏を育てるゲームだ。アリペイを利用すると、利用額に応じて、鶏の餌が手に入る。さらに、毎日運動させる必要もあり、鶏とバレーボールなどをやり、運動量が大きいと鶏はよく育つ。そして、大きくなると卵を生む。

 この卵は、貧困地区の子どもたちに寄付をすることができる。“本物”の卵が寄付されるのだ。このゲームは、すでに累計4億人が遊び、150億個の卵が子どもたちに贈られた。

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ソーシャルEC「拼多多」アプリ内のミニゲーム「多多果園」

 また、ソーシャルEC「ピンドードー」では「多多果園」というミニゲームがある。

 これは、梨などの果物を育てるゲームだ。プレイヤーは毎日、水や肥料をやる必要がある。水や肥料は、ピンドードーで買い物をすればするほどたくさん手に入り、果樹が早く育つ。そして、果物がなる。これを収穫すると、自宅に“本物”の梨が送られてくるという仕組みだ。

 つまり、社会貢献や宅配といったリアルと接続したO2O(Online to Offline)ゲームになっている。


「O2Oゲーム」が広がり始めたきっかけ

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アリペイアプリ内のミニゲーム「アント森林」
 このようなO2Oゲームの草分けは、2016年8月にアリペイが始めた「アント森林」だ。アリペイで「シェア自転車に乗る」「エコ商品を買う」などの環境保全を考慮した決済を行うと、それに応じて排出削減できた二酸化炭素量がポイントとして貯まる。また、歩数計とも連動しており、歩いた距離に応じてもポイントが貯まる。

 つまり、二酸化炭素排出量を減らす行動をするとポイントが貯まるようになっていて、その削減した二酸化炭素量に応じて、アリペイアプリ内のバーチャルな木が育っていく。木が育つと、緑化を必要としている地域に“本物”の木が植樹されるというものだ。

 この活動には、5.5億人が参加し、2億本が植樹されている。中国国内8カ所の敷地に植樹され、その範囲は約1800平方キロメートルにも及ぶ。これは東京23区の面積の3倍弱の広さに相当し、中国では最大級の公益活動になっている。

【次ページ】ミニゲーム流行の裏にある、ECユーザーの“不満”

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