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  • 2025/07/09 掲載

もうムリかも……崖っぷち「ルンバ」はなぜ負けた?「存続危機」招いた決定的失態

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お掃除ロボットの「ルンバ」で有名なアイロボット(iRobot)が経営危機に陥り、自らこのままでは12カ月もたないと公表した。その大きな理由は、中国勢の台頭だ。2024年第4四半期にはついに、中国ロボロックに世界シェア1位の座を奪われ、2位に陥落。3位の中国企業もすぐそこに迫っている。では、中国勢は順調に儲かっているかと言うと、そうではない。一筋縄ではいかない、お掃除ロボットビジネスの今を追う。
執筆:ITジャーナリスト 牧野 武文

ITジャーナリスト 牧野 武文

消費者ビジネスの視点でIT技術を論じる記事を各種メディアに発表。近年は中国のIT技術に注目をしている。著書に『Googleの正体』(マイコミ新書)、『任天堂ノスタルジー』(角川新書)など。

中国の最新技術とそれらが実現させる最新ビジネスをレポートする『中国イノベーション事情』を連載中。

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2024年第4四半期のグローバルシェアは、中国ロボロックが米国アイロボットを抜いてトップに立った。3位のエコバックスとの差も非常に小さい
(出典:IDC Quarterly Smart Home Device Tracker)

ルンバユーザーもびっくり……経営陣の“悲痛な叫び”

 2025年3月、米アイロボットは2024年第4四半期の決算を公開した。今後12カ月以内に債務の借り換えか売却先が見つからないと事業の継続も難しいというニュースが駆け巡り、株価は40%も急落、ショックを受けた方もいるのではないだろうか。

 この話は、アイロボット自身が有価証券報告書に記載したものだ。

「新製品の販売が成功するとは保証できません」
「これらの不確実性が当社の財務状況に及ぼす影響を考慮すると、2024年連結財務諸表の発行日から少なくとも12カ月間、企業として存続できるかどうかについて、重大な疑義が生じています」
(アイロボット有価証券報告書から引用・和訳)
1ページ目を1分でまとめた動画

 経営陣の悲痛な叫びとも言えるほどの強い言葉が使われている。

 アイロボットはマサチューセッツ工科大学のAIラボの3人が1990年に起業し、「お掃除ロボット」というそれまでに存在しなかった製品を生み出したイノベーター企業だ。以来30年以上、「ルンバ」はお掃除ロボットの代名詞であり続けてきた。

 様子が変わったのは2021年。2020年までは、絵に描いたように成長してきたが、2021年をピークに売上が急落し、それに伴い赤字転落してしまった。

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アイロボットの売上高と利益の推移。2021年に増収減益になって以来、赤字に転落
(出典:アイロボット年度報告書)

 市場を切り開いてきたアイロボットはなぜ、このような事態に陥ってしまったのか。 【次ページ】アイロボットの敗因は?戦いは「見えないところ」で始まっていた…
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