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  • 2020/10/13 掲載

なぜブロックチェーン基盤「Corda」には金融機関が集まるのか?

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いま多くの金融機関に注目されているエンタープライズ向けブロックチェーンプラットフォーム「Corda」(コルダ)」。その開発を主導するアールスリー(R3)のCEO デービッド・E・ラッター氏とCTO リチャード・G・ブラウン氏はどんな人物で何を目指しているのか。その開発の背景やビジネスでの可能性とは何だろうか。当事者が語った。

フリーライター 吉澤亨史

フリーライター 吉澤亨史

元自動車整備士。整備工場やガソリンスタンド所長などを経て、1996年にフリーランスライターとして独立。以後、雑誌やWebを中心に執筆活動を行う。パソコン、周辺機器、ソフトウェア、携帯電話、セキュリティ、エンタープライズ系など幅広い分野に対応。

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R3の創業者でありCEOであるデービッド・E・ラッター氏

(出典:日経 XSUM Channel

※本記事は、金融庁 日本経済新聞社 共催「ブロックチェーン・グローバル・ガバナンス・カンファレンス(BG2C)」「フィンサム・ブロックチェーン&ビジネス(フィンサムBB)」での講演内容をもとに再構成したものです。


世界一と評価されたエンタープライズブロックチェーン・プラットフォーム「Corda」

 現在、エンタープライズ向けブロックチェーンプラットフォーム「Corda」(コルダ)の開発で注目される企業が、アールスリー(R3)だ。

 同社の創業者であり、CEOでもあるデービッド・E・ラッター氏はウォールストリートとITで35年のキャリアを持つ。どちらの分野にも関係ないものの、起業家精神に富んだ家族の下に生まれたという。家族は米国東海岸で最長の川であるサスケハナ川に橋を架ける仕事をしていた。この橋ができたことで、通勤や物流などが容易になり、ビジネスに重要な役割を果たしたといい、その経験はデービッド氏の今につながっているという。

「金融機関に入ってその仕事を見たとき、ビジネスプロセスをもっと改善できると感じました。そこで、もっとシームレスでセキュアな金融サービスを作ることが自分の使命であると強く考えるようになり、それが現在のR3の仕事につながっています。R3は、縦割りのデータを排除して効率を高め、リスクを下げながら収益性を向上して、ビジネス同士を橋でつなげています」(デービッド氏)

 またデービッド氏は、世界的な大きな危機が起きるたびに、その後、テクノロジーの普及が急速に進むことに気づいたという。新型コロナのパンデミックでも、デジタル化が急速に進んでいる。消費者の行動も大きく変化し、オンラインショッピングの利用が増え、リアルの店舗が苦しむ状況になっている。

 それは日本も同様だ。これまで金融システムはその運用の一部を紙に依存してきた。リモートワークは増えているが、いまだに判子や署名をして書類を送らなければならないケースが多く、問題になっている。

 デービッド氏によれば、現在、グローバルのペイメント(支払い)のマーケットでは、1日あたり25億のトランザクションがあるという。今後もトランザクションが増えることを考えると、ブロックチェーンのプラットフォームでスケールアップしていく必要があり、パフォーマンスの向上や高い可用性も求められる。そのブロックチェーンのプラットフォームとして高く評価されているのが、R3が開発を主導する「Corda」(コルダ)である。

「実際に『Corda』は、米国証券振替機構(DTCC)の調査で、初めて米国の株式市場のボリュームに対応できるという評価を受けました。これは、Cordaがエンタープライズブロックチェーンのプラットフォームとして世界一になったことを意味します」(デービッド氏)

エンタープライズレベルのセキュリティとプライバシーを担保し、厳しい規制にも対応

 Cordaはビジネスにフォーカスしていることが特徴であり、ブロックチェーン技術を最大限に活用することを目的としている。R3以前のブロックチェーンのプラットフォームは、エンタープライズあるいは規制の厳しいマーケットには適していなかった。そこでCordaを開発したとデービッド氏は言う。

 デービッド氏は、デジタル化によって革新的、破壊的に取引のやり方を刷新しようしたという。そこで分かったことは、ビジネスで起こることは「契約(コントラクト)」か「合意・契約(アグリメント)」であるということだ。そして、企業間のコントラクトのデジタル化は、これまでのブロックチェーンの考え方とは、2つの点で違いがあると説明する。

「1つは誰と通信しているかが明確でなければならないため、ID(アイデンティティ)が極めて重要になること。もう1つは、サードパーティにビジネスのことを知られたくないというニーズ、つまりプライバシーが必須であるということです。Cordaはプライバシーを重視し、企業はシームレスに高いセキュリティを担保したままトランザクションすることができます。また、さらに厳しいセキュリティにも対応できる商用バージョン『Corda Enterprise』も開発しました」(デービッド氏)

 Cordaの強みは、お互いに信頼していないエンドユーザーが、仲介者を入れずに直接トランザクションできることだ。しかも、貿易金融や金融だけでなく、他の業界でも活用できる。コストとリスクを下げ、売り上げを増加し、効率性とセキュリティを強化することで、最終的には事業機会の拡大につなげることができる。

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Cordaは、米国証券振替機構(DTCC)の調査で、初めて米国の株式市場のボリュームに対応できるという評価を受けている
(Photo/Getty Images)

【次ページ】Cordaが切り拓く新しいビジネスの世界

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