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- 2022/01/31 掲載
デジタルドルはどこに向かう? FRBの報告書で触れられたこと、触れられなかったこと
デジタルドルの報告書がようやく発表された
米連邦準備制度理事会(FRB)は1月20日、中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する報告書「Money and Payments: The U.S. Dollar in the Age of Digital Transformation」を公表した。昨年春の予定では、昨年夏に報告書が発表されることになっていたが、半年遅れた。これは、FRB内部で賛否両論があることを意味するのだろう。
報告書は、CBDCの利点と問題点を列挙している。
ただし、導入するか否かの方向付けは示しておらず、パブリックコメントを求める形になっている。
また、ここで示されている論点は、これまですでに議論されていたものがほとんどであり、新しい論点が付け加えられているとはいえない。
デジタルドルの仕組み:中間に民間金融機関が入る
デジタルドルは、FRBの負債となる。ただし、FRBが直接に消費者と取引するのではなく、中間に民間金融機関が入る。その金融機関は、商業銀行、および規制下にあるノンバンク金融サービスの提供者(commercial banks and regulated nonbank financial service providers)とされている。
利用者の本人確認が必要とはされているが、ウォレット(デジタルドルを利用するための電子財布)を持てる人の範囲については、言及されていない。外国人の利用が認められるのかどうかは、定かでない。
利用手数料については触れられていないが、たぶんゼロになるのだろう。
デジタルドルの必要性:ドルの国際的地位保全など
報告書は、デジタルドルの利点として、次のことを挙げている。1.安全な支払い手段となる
マイクロペイメント(インターネット上の少額の支払い)などにも役立つ。
2.国境を越える支払いが便利になる
3.ドルの国際的地位を守る
他国のデジタル通貨が広く使われるようになれば、ドルの国際的な地位が脅かされかねない。デジタルドルは、そうした中でドルの地位を守るとしている。これは、デジタル人民元を意識したものだろう。
4.金融包摂
金融サービスを、これまで利用できなかった人々が利用できるようになる。
5.安全な中央銀行貨幣へのアクセスを可能にする
【次ページ】デジタルドルの問題点:銀行預金の流出など
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