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  • 2022/06/17

デジタル庁と地域金融機関が進める“ぬくもりDX”とは? なぜ「勝ち筋」になり得るのか

「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を」をミッションに掲げたデジタル庁が2021年9月に発足して以降、“ぬくもりDX”というキーワードを使う地域金融機関が増えた。“ぬくもりDX”とは何か?どのような展望があるのか? ダイナトレック取締役 佐伯卓也氏、千葉銀行 柴田秀樹氏キーエンスデータアナリティクス柘植朋紘氏、関西みらい銀行代表取締役 西山和宏氏、デジタル庁 大久保光伸氏が議論した。

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地域金融機関が企業や自治体と連携して目指す「ぬくもりDX」とは?
※本記事は、日本経済新聞と金融庁が2022年3月に主催した「FIN/SUM2022:Fintech Summit(フィンサム)」の講演内容を基に再構成したものです。

デジタル社会創生を受けての地域金融機関のDXの現状

 “ぬくもりDX”という言葉が注目されるようになった背景には、デジタルデータが高度化し、より緻密なデータの収集が可能になったことがある。これまでは、集団でのデータ分析がメインだったが、よりパーソナルなデータの収集及び分析を基にしたDXが可能になる環境が整いつつあるのだ。

 デジタル庁が掲げている「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を」というミッションも、そうした現状を踏まえてのものである。デジタル庁の方針と連動する形で、地域金融機関でも“ぬくもりDX”をテーマとする動きがある。下の図は地域金融機関を取り巻く環境を示したものである。

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図表1:地域金融機関のDXの現状
(出典:ダイナトレック)

 地域金融機関のDXの動きの主なものは、以下の6つである。

  • 新たな領域への事業展開
  • 提供サービスのパーソナライズ化
  • 組織内でのDX人材の育成
  • データ一元化やAPI連携
  • 対面・非対面チャネルの融合
  • 異業種とのコラボレーション

 数多くの地域金融機関にデータ活用ツールを提供しているダイナトレック取締役の佐伯卓也氏はこう説明する。

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ダイナトレック
取締役
佐伯卓也氏

「地域金融機関のDXのサイクルが回ると、データが新たに蓄積され、そこから新たなビジネスが生まれる可能性が出てきます。従来は預貸や為替などの金融サービスに必要なデータのみを定型的に蓄積してきました。しかし現在はデータが多様化し、お客さまのニーズも多様化してきています。お客さまそれぞれの皮膚感覚が異なる中で、手触り感やぬくもりのあるサービスが求められていると考えます」(佐伯氏)

 佐伯氏によると、“ぬくもりDX”とは地域ごと、ターゲットとなる顧客ごとに異なるサービスを細かく提供する仕組み作りということになる。

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図表2:地域金融機関のDXとは「地産地消」できるツール・組織を持つこと
(出典:ダイナトレック)

「歴史的に蓄積しているデータにアプリやAPI連携で収集したデータを加え、包括的に分析します。その上で地域金融機関ならではの一次情報データを一元化し、『地産地消』していくことが地方金融機関のDXです。つまり“ぬくもりDX”とは地域ならではのDXと言い換えられるでしょう」(佐伯氏)

異業種とのコラボレーションによる地域貢献の取り組み

 「地域金融機関が“ぬくもりDX”を推進する上で重要なのは、自前主義を脱却し、異業種コラボレーションを積極的に活用していく点である」と強調するのは、関西みらい銀行の西山和宏氏である。

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関西みらい銀行
代表取締役兼副社長執行役員
関西みらいフィナンシャルグループ
代表取締役兼執行役員
西山和宏氏

「自前主義では、『お客さまに刺さる提案』や最新のサービスを提供できません。我々は銀行業高度化等会社を立ち上げて、新しい事業領域に入っていこうとしています。スタートアップの会社と互いの強みを持ち寄り、成果を追求しながら、地域に貢献するのが目標です。銀行のインフラを使って地域を丸ごと電気自動車化する、災害対策のためのモノやカネをビジネスにするなど、いろんなアイデアが出てきています」(西山氏)

 モデレーターを務めている金融庁参与の大久保 光伸氏は、関西みらい銀行の取り組みについてこう語っている。

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金融庁参与
デジタル庁ソリューションアーキテクト
大久保光伸氏

「プロダクトアウトではなくて、マーケットインの発想を取り入れる姿勢が参考になります。地域金融機関が変換期に来ているということも理解しました」(大久保氏)

 地域金融機関が自らのDXを行うことで蓄積してきたノウハウを利活用し、地域を活性化する“ぬくもりDX”を行う動きも顕著になってきた。千葉銀行のDX戦略も、そうした例の1つだろう。千葉銀行の柴田 秀樹氏はこう説明する。

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千葉銀行
デジタル改革部部長
柴田秀樹氏

「環境認識を踏まえて、戦略やDXというよりも、銀行そのものの変革を目指しています。お客さま向けサービス・業務運営・人生戦略を三本柱としてしっかり取り組むことによって、CXと生産性の向上を実現するのが目標です」(柴田氏)

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図表3:千葉銀行のDX戦略
(出典:千葉銀行)

 千葉銀行ではDXの推進により、データの一元化に成功している。そしてまた、獲得したデータの利活用の重要性を再認識し、次なる戦略を立てている最中とのことだ。柴田氏はこう説明する。

「お客さまを起点として動くことが重要であると考えています。お客さまとどういう形でデータでつないでいくのか、ニーズに応えるサービスを提供していくのかが、次の戦略だと考えています。その第一歩として立ち上げたのが『ちばぎん商店』です」(柴田氏)

 ちばぎん商店とは「地方創生の起爆剤となる商品・サービス」を発掘・創出を目的として、EC・購入型クラウドファンディングの運営、地域ブランド商の企画開発・販売、各種イベントの企画・運営などの支援を行っている企業だ。この他にも千葉銀行ではAPI連携ができる基盤の整備も行っているのだ。

【次ページ】地域金融機関の「ならではの価値」とはどのようなものなのか?

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