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  • 2021/07/13

金融機関の店舗は「リストラ対象」か? 次世代店舗戦略の論点とは

大野博堂の金融最前線(39)

金融機関の店舗といえば、とかく最近はネガティブな情報ばかりが喧伝されている印象があるだろう。デジタライゼーションの潮流により金融機関は事務や対面での顧客取引をデジタルで代替しつつあり、結果としてこれまで顧客接点を担ってきた店舗は旧態依然とした感さえ漂う。では、店舗は役割をこのまま終える存在となるのだろうか? 本稿では、改めて営業店の機能に着目し、とりわけ地域金融機関における店舗活用の論点を整理する。

NTTデータ経営研究所 パートナー 金融政策コンサルティングユニット長 大野博堂

NTTデータ経営研究所 パートナー 金融政策コンサルティングユニット長 大野博堂

93年早稲田大学卒後、NTTデータ通信(現NTTデータ)入社。金融派生商品のプライシングシステムの企画などに従事。大蔵省大臣官房総合政策課でマクロ経済分析を担当した後、2006年からNTTデータ経営研究所。経営コンサルタントとして金融政策の調査・分析に従事するほか、自治体の政策アドバイザーを務めるなど、地域公共政策も担う。著書に「金融機関のためのサイバーセキュリティとBCPの実務」「AIが変える2025年の銀行業務」など。

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銀行の窓口は重要な役割を担っているが店舗は縮小傾向にある
(Photo/Getty Images)

店舗を取り巻く話題はネガティブなものばかり

 人口減少を背景に、デジタルトランスフォーメーション(DX)による事務の合理化と人材抑制とも相まって、店舗を取り巻く話題はネガティブな要素がつきまとう。

 とかくこれまで顧客との重要な接点を担ってきたはずの店舗が置き去りにされつつあり、話題となるのは営業店の統合や削減といったネガティブな動きばかりである。こうした中、店舗数の削減といった発想にとどまらず、「既存店舗の利活用」に着目する動きも出てきた。

 欧州を旅すると、金融機関の営業店の一階部分が育児スペースで、本来の営業店機能は二階の相談ロビー、といった店舗を目にする。また、筆者の自宅近くの駅前に立地する地域金融機関は、前面の看板を喫茶店と共有した上で入口も喫茶店と同じくし、金融機関の営業店と喫茶店が建物内の同じフロアで半ば一体化したかのごとく並びあっている。金融機関店舗に見られる堅苦しさや敷居の高さは微塵も感じられないほどだ。

これまで規制でがんじがらめとされてきた店舗

 従来より欧米では体験型店舗が注目され、複数の機能を組み合わせた新たな来店動機形成に余念がない。一方、日本ではこれまでのところ、金融機関は営業店をうまく活用できていないのが実態である。これには防犯上の理由もさることながら、日本での店舗規制が極めて厳しいという特有の事情が存在する。

 過疎地対策として利便性の高い移動店舗1つとってみても、店舗規制が適用されることで、運用には必要以上のコストを伴うことになる。結果、一台の車両製造に2000万~4000万円ものコストを投じざるを得なかった。

 このように、店舗の利活用においては決して金融機関の責が問われるべくものではなく、金融当局によってがんじがらめにされてきたのが実態である。実際、かねて店舗再開発に向けた金融機関からの要望は数多く当局に寄せられてきた。

店舗利活用は緒に就いたばかり

 近年、営業店の再開発とセットで空きフロアの一般貸出が容認されてきたことを受け、地銀ではこのところ、交差点などの好立地に出店する平屋の営業店をビル化し、空いたスペースを第三者に賃貸する方式での「不動産賃貸業」を手掛ける例が見られる。

 そもそもこうした「金融機関の店舗利用の柔軟化」構想は古くから金融庁内にあったものの、地域金融機関における不動産不正融資などが問題視された結果、慎重視されてきた経緯がある。不動産事業への進出のみでは、単なる兼業にとどまる恐れがあり、新たなリスクを背負い込むことにもなるためだ。

 そのため、金融庁としては地域創生を踏まえた店舗戦略を金融機関に要請している、と解釈すべきだろう。では、店舗を地域創生にどう生かすべきなのだろうか。

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金融庁は銀行の実店舗に「地方創生」の期待をしているが……
(Photo/Getty Images)

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