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  • 2022/10/08 掲載

【独自】ファイナンシャルプランナーの権限拡大を検討へ、金融庁には慎重論も

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政府は、家計に関する相談を受けるファイナンシャルプランナー(FP)の業務に関する制度枠組みを見直す検討に入ったことが新たにわかりました。国民の金融リテラシーの向上と、老後に向けた安定的な資産形成をサポートするため、FPが担う職業上の役割やその権限を広げる選択肢が浮上しています。有識者会議の会合では具体的な商品名への言及を解禁するなどの具体案が上がる一方、制度改正を所管することになる金融当局内からは性急な規制緩和に対する慎重論も聞こえてきます。

執筆:金融ジャーナリスト 川辺 和将

執筆:金融ジャーナリスト 川辺 和将

元毎日新聞記者。長野支局で政治、司法、遊軍を担当、東京本社で政治部総理官邸番を担当。金融専門誌の当局取材担当を経て独立。株式会社ブルーベル代表。東京大院(比較文学比較文化研究室)修了。自称「霞が関文学評論家」

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FPの役割への期待が高まる一方、政府と金融庁には温度差も
(写真:毎日新聞社/アフロ)

「貯蓄から投資へ」の新たな実働部隊に?

 FPは、貯蓄や投資などお金に関する総合的な相談を受け、人生設計をサポートする職業です。実は法的な位置づけを含め、厳密な定義は存在せず、誰でも自由にFPを名乗ることができます(ただし一般的には、厚生労働省の指定試験機関であるNPO法人などが認定する資格を有している人がFPであると理解されています)。

 今回、複数の関係者への取材で、政府与党側と金融庁との間で、全国6万人超に上るFPの業務に関連する制度の枠組みを見直し、「貯蓄から投資(資産形成)へ」の流れを国民生活に行き届かせるためのいわば実働部隊として活用するという選択肢が浮上していることが新たにわかりました。

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貯蓄から投資(資産形成)を促すことができるのでしょうか
(Photo/Getty Images)

家計の「アドバイス役」にふさわしいのは誰か

 なぜFPの権限を拡大する選択肢が浮上したのか。背景には、金融庁が長年にわたって頭を悩ませてきた、ある課題があります。

 それは、「家計の『真のアドバイス役』にふさわしい業態が見当たらない」(当局幹部)という問題です。

 金融庁は金融機関に対し、顧客一人ひとりの生活状況やニーズに即した商品やサービスを提供する「顧客本位の業務運営」を実現するよう促していますが、実務レベルへの理念の浸透は道半ばです。

 9月に開かれた有識者会議で当局は、証券会社や銀行において、コスト構造が不透明な上に顧客に過度なリスクを押し付ける商品性が問題視されている仕組債などの販売が過熱している状況を指摘。「顧客本位」が定着しきっていない金融業界の現状を厳しく非難しました。

 数年前、当局内では既存の金融機関にかわる家計アドバイザーの候補として、独立系ファイナンシャルプランナー(IFA)に対する期待論が高まった時期がありました。ただ、IFAの中にも現状、仕組債の販売手数料に収益を依存する事業者が少なくありません。「アドバイス重視のビジネスモデルを実現する事業者は一部に限られ、業態全体を理想として持ち上げるのは無理がある」(同)と、現時点では庁内から冷ややかな評価も聞かれます。

 「結局、金融業界の内側にいる人間に完全な中立性を求めるのは限界がある」(職員)──こうした、いわば諦めムードの末に浮上したのが、今回のFP権限拡大論です。

【次ページ】具体的な商品名の言及、解禁案も

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「ChatGPTで株価予測」が実現? 金融分野の生成AI最新動向

リラ教授とタン准教授がシミュレートしたのは、ニュース報道翌日の株価パフォーマンス。決算発表を考えてもらえれば分かるようにこれはいわゆる株価予測とは違うのですが(決算前に、どんな決算になるかを考えるのが予測ですね)、こんなクルードな方式でも15ヶ月間リターンが+250%も出たとのことで(取引コスト10bps)、しかもシャープレシオが3以上と、ちょっと驚きを通り越してしまいます。

おそらくは、時価総額のごく小さな銘柄にはいかにミスプライシングが残されているかということが発見なのでしょう。

想像に難くありませんが、そのパフォーマンスは時価総額下位10%の銘柄に集中しています。NYSEの時価総額下位10%といえば$100m以下。その多くはペニーストックで出来高のない日も多く、取引金額は多くて$1m。

さて、この手の計算と現実の間には、常に流動性の制約があります。寄りオンリーの売買で実際にいくら張れるかについて簡単な試算をしてみましょう。

日次取引額の25%が寄りでの約定と仮定し、その20%までならティックアップしないとすると、張れるのは日次取引額の5%です。対象銘柄全体で平均日次取引額が$300kあるならトレード可能額は$15k。そして時価総額下位10%に属する300銘柄のうち、出来高がありかつその日にニュースが存在するのが150銘柄だとすると、合計$2m強しか張れないことに。

ちなみに上記の150銘柄という前提は、論文に使われている観察サンプル数の15ヶ月間46402件にマッチしますが、実際にはマイクロキャップ銘柄についてニュースが存在する日が全体の半数もあるとはとても思えず、さらに制約がある可能性は高そうです。(時価総額100億円以下の会社では、決算すらほとんど報道されませんよね)

投資とは、良い会社を安く買うこと。このシミュレーションは「ニュースがポジティブかネガティブか」だけを見ていて「株価が安いか高いか」は無視していますから、バリュエーションを組み合わせたストラテジーに仕立て上げたときにどうなるかに興味がひかれます。そのうえで、日計りではなくせめて数ヶ月スパンで、かつ大型株でパフォーマンスが出せるようなものが出てきたときには必ずや実用化されるでしょう。

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