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  • 2023/07/31 掲載

「2030年には20倍」爆増する“車が持つデータ”にどう対応? 通信最大手AT&Tが見据える未来

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何らかの通信機能がついた車「コネクテッドカー」は、2030年には世界で25億台に達し、車1台あたりの月間データ使用量は2022年比で20倍の100GBになるという。このようなコネクテッドカー市場の急拡大、車のデータ量の増大に対し、新たな商機を得ているのが通信会社だ。業界最大手AT&Tはこのビジネスチャンスにどう対応していくのか。同社が描く、これからの車の常識とは。

執筆:米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

執筆:米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住のジャーナリスト。同志社大学卒、ボストン大学コミュニケーション学科修士課程修了。テレビ番組制作を経て1990年代からさまざまな雑誌に寄稿。得意分野は自動車関連だが、米国の社会、経済、政治、文化、スポーツ芸能など幅広くカバー。フランス在住経験があり、欧州の社会、生活にも明るい。カーマニアで、大型バイクの免許も保有。愛車は1973年モデルのBMW2002。

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2023年6月に開催された「オートテック・デトロイト2023」の様子
(写真:筆者撮影)

通信世界最大手AT&T、コネクテッドカーで存在感

 6月6、7日に米デトロイト近郊で開催されたオートテック・デトロイト2023は、車をソフトウェア側から考えようという技術展だった。注目すべきは、このイベントのメインスポンサーとなったのはAT&T、ベライゾン、Tモバイルという米国を代表する3つの通信会社だった点だ。

 車が使用する通信機能が増え、データ量が増大することはパートナーとなる通信会社の重要性が増すことを意味する。通信会社にとっても自動運転や車内エンターテインメントの発展は大きなビジネスチャンスでもある。

 車のソフトウェア機能が重要視され、ソフトウェアを中心に作られた車「SDV(Software Defined Vehicle)」が注目される中、通信が積極的に自動車産業と関わるのは当然のこととも言える。


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AT&T マット・ハーデン氏
(写真:筆者撮影)
 それを象徴するのが、通信世界最大手AT&TのIoTコネクテッドカー・ソリューション・ビジネス開発担当AVP(アシスタント・バイス・プレジデント)、マット・ハーデン氏による基調演説だった。

 AT&Tは現在米国内では、ルーシッドモーターズのEV「ルーシッドエア」、米衛星ラジオのシリウスXM、フォード5Gなどと提携し、同社の高速インターネット、データサービスを提供している。また、単体としては最も多くの世帯に通信サービスを提供する企業でもある。

2030年コネクテッドカーは約25億台、車1台のデータ使用量は100GBに

 まずハーデン氏が指摘したのは、調査会社トランスフォーマ・インサイト社による「2030年には全世界のコネクテッドカーが25億台に達し、車1台あたりが使用するデータ量も現在の20倍になる」という試算だ。ハーデン氏は「2030年に車1台が月間に使用するデータ量は最大で100GBに到達する」という。

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パラダイムを変える自動車業界の動向。2030年の自動車事情を示す3つの数字
(出典:AT&Tの基調講演資料をもとに編集部作成)

 車が月間に利用するデータ量は2000年代にはKBレベルだったが、2010年代にはMBレベルとなり、2020年代に初めてGB台に到達した。今後はビデオストリーミング、インターネットニュースの車内ブロードキャストなどが増え、2030年以降は飛躍的に増大すると予想されている。

 さらに2030年にはEV比率が世界で22%に達し、その総数は4000万台となる。また部分的に自動運転(ADAS)を採用する車は8500万台、うち20%がレベル3以上の条件付き完全自動運転となる予測だ。

 こうなると車のコネクティビティー(接続性)、つまりどこにいても通信機能サービスを受けられる車であることが消費者にとって最低条件となる。いくら早い通信速度を提供されても、場所によって通信が途切れればサービスをフルに受けることが不可能となる。 【次ページ】消費者は何を求めている? 調査で見えた「関心の変化」

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