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  • 2024/04/11 掲載

テスラやBYDでは常識「SDV」でトヨタやホンダに勝ち目はあるか?技術以外の重すぎ課題

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SDV(ソフトウェア定義車両)の市場規模は、少なく見積もっても2030年に2,000億ドル市場にまで成長すると予測されている。SDVでは言うまでもなく「ソフトウェア」が性能を大きく左右し、これまでの自動車製造とは常識が異なる。問題となるのは、トヨタやホンダ、日産、米ビッグ3(GM、フォード、クライスラー)などの既存大手メーカーにSDVが作れるのかという点だ。SDVを基礎に車作りをするテスラやBYDなどの新興メーカーと既存大手が戦うには、技術面以外でも大きな障壁がある。
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調査会社のプレシーデンツ・リサーチ社による2032年までのSDV、EVの市場規模推移の予測。2022年はSDV市場のみの数字
(データ出典:プレシーデンツ・リサーチ)

SDV市場は少なく見積もっても「2030年に2,000億ドル」

 現在はICE(内燃機関車両)からEVへの移転期とも言えるが、EVはすでにアップデートのほぼ8割をOTA(Over The Air:インターネット経由でソフトウェアを更新する技術)によって行っている。これが可能なのは、ほとんどのEVがソフトウェアベースの車作りをしているためだ。つまりスマホなどと同様に、ハードはそのままでソフトウェアの更新により性能がアップしたり新しい性能を追加したりすることなどが可能となる。

 SDV(Software Defined Vehicle:ソフトウェア定義車両)市場は、2022年には356億ドル程度だったが、今後は年間に20%近い成長を続け、2030年にはリサーチ会社による予測のばらつきはあるものの、少なくとも2,000億ドル、米自動車リサーチ会社であるワーズ・オートでは5,100億ドルと試算している。


 これはEVの市場規模拡大とリンクしており、プレシーデンツ・リサーチ社の予測では2032年のEV市場は1兆7,168億ドル規模となり、SDVはその1割強に相当する2,100億ドルになるとされている。

 しかし、SDVを実現するためには自社のネットワーク、クラウドに車がリンクしていること、性能などをアップデートできる優れたソフトウェアを内製することが条件となる。テスラなど多くの新興EVメーカーはすでにこうしたネットワークを構築しているが、既存大手自動車メーカーはこの点で後れを取っている。

既存大手自動車メーカーはSDVを作れるのか

 ワーズ・オートが行ったポッドキャストでは、Apex.AI(エイペックス・エーアイ)のCEO、ヤン・ベッカー氏を招き、「既存大手メーカーはSDVを作れるのか」についての考察を行った。

 Apex.AIは車載用ソフトウェア、特に安全性能に特化したものを製造する企業で、設立にはコンチネンタルZF、ダイムラートラック、トヨタベンチャーズ、ボルボグループベンチャーズキャピタルなど、自動車メーカーやTier1サプライヤーが含まれる。

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Apex.AI(エイペックス・エーアイ)CEO ヤン・ベッカー氏
(出典:Apex.AI ジャパン ニュースリリース)

 Apex.AIはオープンソースベースでのソフトウェア開発を行っており、異なるメーカー、エコシステムに対応したソフトウェアとプラットフォームの提供を目指している。現在のところは緊急ブレーキシステムなど、主に車の安全性に関わるソフトウェアが中心だ。

 現時点でSDVのメジャープレーヤーはアプティブ、コンチネンタル、モービルアイ、エヌビディア、ロバートボッシュ、テスラ、ウェイモなどが挙げられる。特にシェアが高いのはテスラ、エヌビディアとなる。

 ベッカー氏は、「既存大手メーカーにとってSDVに移行するための障害がいくつかある」と指摘する。 【次ページ】SDV時代、既存大手メーカーの前に立ちはだかる壁
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