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  • 2023/07/05 掲載

テスラ発の新常識「SDV」とは何か? 自動運転時代、車の“見た目”は誰も気にしない?

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テスラが考案し、これからの車の新常識として近年注目を浴びている「SDV(ソフトウェアデファインドビークル)」。これは「ソフトウェアを中心に作られた車」を意味するが、SDV時代の到来は、これまで重要視されてきた車両のスペックやデザインが「車の価値」としてまったく見いだされなくなる可能性も示唆するという。EVの普及、自動運転の進化、激変の荒波の中にある自動車メーカーと周辺産業に訪れるさらなる大変化とは。

執筆:米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

執筆:米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住のジャーナリスト。同志社大学卒、ボストン大学コミュニケーション学科修士課程修了。テレビ番組制作を経て1990年代からさまざまな雑誌に寄稿。得意分野は自動車関連だが、米国の社会、経済、政治、文化、スポーツ芸能など幅広くカバー。フランス在住経験があり、欧州の社会、生活にも明るい。カーマニアで、大型バイクの免許も保有。愛車は1973年モデルのBMW2002。

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これからの車の新常識「SDV」とは? 写真は、SDVという考え方を初めて打ち出したテスラのModel 3の車内
(Photo/Florenc.Elezi/Shutterstock.com)

最新モーターショーで鮮明、車の中心はハードからソフトへ

 2023年6月に米デトロイト郊外で開催されたオートテック・デトロイトは、従来のモーターショーとは異なり、車のソフトウェア開発を中心としたものだった。

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2023年6月開催「オートテック・デトロイト」の様子。写真にあるように、世界最大手の通信会社AT&Tや自動車用ソフトウェア会社のエレクトロビットのほか、車のソフトウェア開発関連の出展が目立った
(写真:筆者撮影)

 これまでオートテック(自動車技術)といえばエンジン性能をはじめ燃費、車体の軽量化などハード面が語られることが多かった。しかし近年では車というものがよりデータ、そしてソフトウェアに比重を起きつつあることが明確になっている。

 今後、EVそして自動運転が普及した時、車はコネクテッド(インターネットに接続された状態)であり、さまざまなものとのコミュニケーションを取る必要がある。V2X(Vehicle to everything:車とあらゆるモノとの通信の総称)と言われるように、車同士、あるいは車とインフラ、車とIoTというように周辺のさまざまなものとの連携が不可欠になるのだ。そして、それを可能にするのはハードウェアではなくソフトウェアだ。

従来の常識を破った、テスラが打ち出した「SDV」とは

 ソフトウェア定義車両「SDV(Software Defined Vehicle)」という考え方を最初に打ち出したのはテスラだ。テスラは発売当初から「性能のアップデートをオンラインで行う」ことを明らかにしていた。

 従来型の自動車メーカーでは、エンジンなどをオンラインでアップデートするという発想がまずなかった。リコールなどが行われた際も、ユーザーが車をディーラーに持ち込み、実際の修理を行うのが常識だった。

 ところが、テスラがModel 3を発売したとき、コンシューマーレポート社の初期調査でブレーキ性能の評価が低かった。これに対し、イーロン・マスクCEOは調査のやり直しを要求、実際のテスト車両に触れることなく1週間後にはブレーキ性能が大幅に向上していた。つまり、ソフトウェア的に回生ブレーキの性能を改良し、それをオンラインで車に送信することにより、車の性能そのものを変化させることが可能になった。 【次ページ】図解:車に搭載されるソフトウェア数は30年で急増

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