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- 2023/07/05 掲載
テスラ発の新常識「SDV」とは何か? 自動運転時代、車の“見た目”は誰も気にしない?
最新モーターショーで鮮明、車の中心はハードからソフトへ
2023年6月に米デトロイト郊外で開催されたオートテック・デトロイトは、従来のモーターショーとは異なり、車のソフトウェア開発を中心としたものだった。これまでオートテック(自動車技術)といえばエンジン性能をはじめ燃費、車体の軽量化などハード面が語られることが多かった。しかし近年では車というものがよりデータ、そしてソフトウェアに比重を起きつつあることが明確になっている。
今後、EVそして自動運転が普及した時、車はコネクテッド(インターネットに接続された状態)であり、さまざまなものとのコミュニケーションを取る必要がある。V2X(Vehicle to everything:車とあらゆるモノとの通信の総称)と言われるように、車同士、あるいは車とインフラ、車とIoTというように周辺のさまざまなものとの連携が不可欠になるのだ。そして、それを可能にするのはハードウェアではなくソフトウェアだ。
従来の常識を破った、テスラが打ち出した「SDV」とは
ソフトウェア定義車両「SDV(Software Defined Vehicle)」という考え方を最初に打ち出したのはテスラだ。テスラは発売当初から「性能のアップデートをオンラインで行う」ことを明らかにしていた。従来型の自動車メーカーでは、エンジンなどをオンラインでアップデートするという発想がまずなかった。リコールなどが行われた際も、ユーザーが車をディーラーに持ち込み、実際の修理を行うのが常識だった。
ところが、テスラがModel 3を発売したとき、コンシューマーレポート社の初期調査でブレーキ性能の評価が低かった。これに対し、イーロン・マスクCEOは調査のやり直しを要求、実際のテスト車両に触れることなく1週間後にはブレーキ性能が大幅に向上していた。つまり、ソフトウェア的に回生ブレーキの性能を改良し、それをオンラインで車に送信することにより、車の性能そのものを変化させることが可能になった。 【次ページ】図解:車に搭載されるソフトウェア数は30年で急増
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