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  • 2019/10/01

「ADAS(先進運転支援システム)」を解説、自動運転との違いは?トヨタ、日産の事例も

「ADAS(先進運転支援システム):エーダス」が、交通事故の抑止と自動運転という2つの側面から注目を集めている。ADASとは、自動ブレーキ装置や急発進防止装置などを含む、自動車のための安全装置の総称だ。本稿ではADASの基礎知識および国内メーカーの事例をやさしく解説する。

物流・ITライター 坂田 良平

物流・ITライター 坂田 良平

Pavism 代表。元トラックドライバーでありながら、IBMグループでWebビジネスを手がけてきたという異色の経歴を持つ。現在は、物流業界を中心に、Webサイト制作、ライティング、コンサルティングなどを手がける。メルマガ『秋元通信』では、物流、ITから、人材教育、街歩きまで幅広い記事を執筆し、月二回数千名の読者に配信している。

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ADASとは何か。各社の事例も交え解説する
(Photo/Getty Images)

ADAS(先進運転支援システム)とは何か

 ADASは、「Advanced Driver Assistance System」の頭文字を取ったものであり、「先進運転支援システム」と訳される。

 自動車に搭載されたセンサーなどから得た情報を基に、交通事故につながるような危険を検知。またドライバーによるヒューマンエラーを防ぐために、アクセル、ブレーキ、操舵(そうだ)などの運転行動に関与することによって、交通事故を未然に防止するための装置・システムである。

ADASに含まれるシステムは?

 ADASとは何か特定のシステムを指すのではなく、自動車の安全装置(システム)の総称である。ADASに含まれるシステムのうち、代表的なものを挙げよう。

・ペダル踏み間違い防止装置
 アクセルとブレーキの踏み間違いを防止する装置。

・前方衝突警告(FCW/Forward Collision Warning)
 前方車との車間が詰まった(短くなった)際に、ドライバーに対してアラート発報を行い、注意を促す装置。

・自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)
 前方に障害物があり、かつドライバーがブレーキ操作などを行わず衝突の危険性がある場合に、自動的にブレーキを作動させる装置。前方衝突警告装置と組み合わされる場合が多い。

・車線逸脱防止支援システム(LKS/Lane Keeping Assist System)
 自動車が車線から外れるような動作をしたときに、アラート発報を行い、また車線内での走行を維持するためのステアリング操作をアシストするシステム。アラート発報だけを行う装置は、LDW(Lane Departure Warning)と呼ぶ。

・先行車に追従するクルーズコントロール(ACC/アダプティブクルーズコントロール)
 一定の速度をキープして走行するクルーズコントロールを進化させ、先行車を検知し、車間を維持した状態で走行を継続する装置。

・死角モニタリング
 バンパーなどに設置されたセンサーにより、接近車両の存在をドライバーに伝える装置。警報音とともに、接近車両側のサイドミラーなどにアラート発報を行う。

・自動ヘッドランプ光軸調整(AFS/Adoptive Front Righting System)
 ハイビームとロービームを自動的に切り替える、もしくはカーブなどで進行方向にライトの照射方向を切り替える装置。

・自動操舵回避(AES/Automatic Emergency Steering)
 センサーによって前方に障害物を検知した際、ステアリング操作をシステムが行うことで、衝突などの危険から回避する装置。緊急時の作動順序としては、「前方衝突警告」でドライバーに警告を行い、「自動ブレーキ」を作動、それでも衝突を回避できない場合に、自動操舵回避が作動する。

 これらの装置を統合的に制御するのが、車載ECU(Electronic Control Unit)と呼ばれる電子制御装置だ。ECUは、エンジンや変速ユニット、カーステレオやエアコンなどを制御する電子装置全般を指すため、ADASに関係する装置を制御するECUを、特にADAS ECUと呼び区別する場合もある。

 なお広義では、ドライバーの居眠りや体調不良などを検知する装置や、速度や加速度などを記録するドライブレコーダーも、ADASに含まれるだろう。

ADAS発展の歴史

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 国内におけるADASの歴史は、1991年にさかのぼる。自動車事故の削減に向け、国土交通省がASV(先進安全自動車)推進会議を開始、安全装置の技術検証を開始したのが同年である。

 2009年11月、モスクワで行われた世界閣僚会議において、2011年~2020年の10年間で交通事故による死者数を半減する目標が掲げられた。これを受け、自動車の安全性を評価してきたNCAP(New Car Assessment Programme/新車アセスメントプログラム)などを中心に、交通事故への予防安全に対する取り組みが本格化したと言われている。

 自動車における安全技術は当初、エアバッグやシートベルト、自動車の構造体に対する衝突安全性能などのパッシブセーフティーが中心だった。しかし、前方衝突警報装置、自動ブレーキなど、ADASに分類されるアクティブセーフティーへと注目が移り始めている。

 2018年における交通事故死者数は、3,532人。現行の交通事故統計が開始された1947年(昭和22年)以降、最低の数字だ。過去最多であった1970年(昭和45年)における死者数16,765人と比べると、格段の向上を示している。

ADASが交通事故を大幅に減らすか

 とはいえ、いまだに年間数千人の死者が出ているのも事実だ。死亡事故全体を見ると、「運転操作不適」「漫然運転」「脇見運転」「安全不確認」といった、安全運転義務違反を原因とする事故がもっとも多く、56.5%(2018年)を占める。

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法令違反別(第1当事者)交通死亡事故発生件数(平成30年)

 たとえば、自動ブレーキは、脇見運転を原因とする交通事故を防ぐ効果が見込まれる。安全運転義務違反を原因とする悲惨な交通事故は、ADASが発達し、また普及することによって大幅に減少させられる。

 また、高齢者を対象とした交通安全対策は、今後高齢化が進む日本においては、極めて重要な課題である。

 2010年には、交通事故死者全体における高齢者の割合は50%を超えた。2018年中における免許人口10万人あたりの死亡事故件数を年齢層別に見ると、75歳以上の高齢運転者における件数は、75歳未満と比べて約2.4倍となっている。

 高齢者における死亡事故の内容を見ると、工作物への衝突や、路外逸脱が多い。運転操作のミスによる事故も多く、ブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故は、75歳未満が1.1%であるのに対し、75歳以上では5.4%と著しく多い。ADASの普及によって、このような高齢者の死亡事故も防ぐことができるかもしれない。

【次ページ】ADASと自動運転の関係は?国内乗用車メーカーの取り組みも

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