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- 2024/08/29 掲載
メルセデス・ベンツのEV戦略は「もうオワコン」? 決めるのは「まだ早すぎ」なワケ
メルセデス・ベンツ決算に見る「EV不調」
EV販売が勢いを削がれているとの見方が広がっている。たとえば、EV販売で世界をけん引してきた米国テスラの販売台数が、2四半期連続(2024年1~3月期および4~6月期)で、前年同月比を割り込んだ。米国内市場では、EV市場のシェア率ではじめて50%を割ったとの報道もある。そうした中、ドイツのメルセデス・ベンツも先月、2024年度の第四半期の決算を発表し、2024年上期(1~6月)のEV販売台数が対前年同期比17%、第2四半期(2024年4~6月)に限れば25%下落していることを明らかにした。これに対し、同社のプラグインハイブリッド車(PHEV)販売台数は、1~6月で27%増加、4~6月で16%増加と好調だ。
ただ、今年の同社の販売台数を見ると、EVが4万5843台(4~6月)で、PHEVは4万4120台(4~6月)であり、EVの方が若干ではあるが上回っている。また、新車販売全体に対するEV比率は9.2%を保持している。
ドイツ国内に限れば、EV購入に対する政府の補助金が昨年12月で終了したことが、EV販売台数が減少した一因ではあるだろう。
とはいえ、この数字により、EVからPHEVへ販売の潮目が変わったとの見方が出てもおかしくない。
同社は2021年に公表した「2030年までに販売する全車種をEV」とするという戦略を今年2月に撤回していることもあり、今後EV戦略をどう進めていくのかが現在注目されている。
果たして、今回の決算により、メルセデス・ベンツが目指してきたEV推進へ向けた戦略が、いよいよ大きな転換を迎えざる得ない事態を迎えたのかどうか。
結論から言うと、筆者はその判断を下すのはまだ性急すぎると考えている。その理由を見ていこう。
ベンツ会長が考える「EV戦略」とは
2023年8月、メルセデス・ベンツの新型車「EQE SUV」の発表会に出席するため、同社のオラ・ケレニウス会長が来日した。この際、ケレニウス会長はEVについて「乗用車が将来目指す方向はEVである」とその重要性を語っている。同氏は同時に「移行期にはPHEVの導入もある」とも述べており、同社の戦略上におけるEVおよびPHEVの立ち位置を伺わせる発言を残している。ケレニウス会長は、このEVへの考え方について「過去数年にわたり検討を重ねた結果である」と述べている。同氏は同時期に韓国にも訪れており、日本および韓国のメルセデス・ベンツ社員に、EVに関する同氏の方針を直に伝えたとされている。同氏の決断を欧州内にとどめるのではなく、世界的に浸透させる狙いがあったと推察でき、同氏のEV推進への本気度が伺えるだろう。 【次ページ】メルセデスが歩んできた「試行錯誤」の歴史とは
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