• 2026/03/03 掲載

凡人が“天才脳”を獲得できる「神プロンプト」、旭化成・安川・積水の「成功法」再現

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生成AIの登場によって、社内外のイノベーターが励行する「成功の方法」を再現できるようになりました。プロンプトを工夫すれば、思考・行動の水準をイノベーターレベルに高めることができるのです。そこで今回は、数多くのイノベーターを取材し、その思考の本質を探究してきた筆者が、日本を代表する3名──旭化成で電子コンパスを開発した山下 昌哉氏、積水化学工業でCTOを務めた上ノ山 智史氏、安川電機 会長の小笠原 浩氏──の実践知をひも解きます。彼らの「成功の法則」を抽出し、生成AIで再現できるプロンプトとして公開します。
執筆:アクト・コンサルティング 取締役 経営コンサルタント 野間 彰

アクト・コンサルティング 取締役 経営コンサルタント 野間 彰

アクト・コンサルティング 取締役
経営コンサルタント

大手コンサルティング会社を経て、現職。
製造業、情報サービス業などの、事業戦略、IT戦略、新規事業開発、業務革新、人材育成に関わるコンサルティングを行っている。
公益財団法人 大隅基礎科学創成財団 理事。
関連著書『正しい質問』アマゾン、『イノベーションのリアル』ビジネス+IT、『ダイレクト・コミュニケーションで知的生産性を飛躍的に向上させる 研究開発革新』日刊工業新聞、等
Xアカウント:https://x.com/ACT_noma/

アクト・コンサルティング
Webサイト: http://www.act-consulting.co.jp

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旭化成・積水化学工業・安川電機の成功方法を再現するプロンプト公開
(旭化成:写真:アフロ、積水化学工業:Photo:beeboys/Shutterstock.com、安川電機:Photo:JHVEPhoto/Shutterstock.com)

【旭化成】課題解決の成果を広範囲に広げるプロンプト

 旭化成で電子コンパス(スマホなどに入れる地磁気で方位測定する電子部品)を開発した山下 昌哉氏は、開発時、他の電子部品などが出す磁場の影響を補正するキャリブレーションの課題に悩んでいました。

 地磁気と他の磁気を区別するには、スマホなどのデバイスを縦横そして90度回転して3回スイッチを押す必要があります。いちいちそんなことをユーザーはしてくれない。そこで思いついたのが、ユーザーが日常デバイスを自然に動かす動作を利用して、ソフトウェアで自動キャリブレーションする方法です。

 この方法は、キャリブレーションの課題を解決したのみならず、ほかにも多くの価値を生み出しました。たとえば、電子コンパスの周囲で発生する磁場の影響を考える必要が無くなったため、部品をワンチップ化・小型化できた上、メッキなどの加工コストを削減、など。

 山下氏は、このような課題解決策を「クオンタム・リープ」(量子的飛躍)と呼んでいました。それは単に目の前の壁を突破する「ブレークスルー」にとどまりません。思考の次元「レイヤー」そのものを1段階高いレベルへと上げることで、視界が一気に開け、直面していた課題が解決するのはもちろん、一見無関係に見えた他の悩みまでもが連鎖的に解消されていく。そんな劇的な変化を意味しています。

 山下氏の成功の方法をまとめると以下の解釈ができます。
 人は課題解決できると、そこで安心し、それ以上解決策を考えない。しかし、同じ課題解決でも方法は多様にある。そこで、単なるブレークスルーを良しとせず、常にクオンタム・リープまで追求する。これによって、より大きな価値を生み出すことができる。
 クオンタム・リープを、生成AIを使って追求する時、以下のような文章をプロンプトに加えると良いでしょう。
当該課題のみならず、現状の他の課題まで一気に解ける、より高い視点、広い視野で考えることで得られる解決策を教えて

 このプロンプトを全社員に徹底すれば、組織の生み出す価値を高めることができるはずです。

【積水化学】「やり方」の最適解を導くプロンプト

 積水化学工業でCTOを務めた上ノ山 智史氏は、自分自身の成功体験に基づき、「入り口を整える」重要性を部下に指導してきました。上ノ山氏は次のように語っています。

「研究者は、今やっていることを続ける、やりたいことをやると機嫌がいい。惰性で続けることもあります。しかし惰性の場合、理詰めで考えると、必ず論理破綻していく。いったん研究が始まったら止めるのは大変です。入り口、つまりスタート時点では、『やり方』の可能性は360度ある。なのに、思いつきで1つの角度で始めるのは危険です。だから入り口で、原理原則に基づいて理詰めで考える。もちろん、技術のすべてはわからないから、専門家に聞くことも必要です」

 考え方としては、たとえば以下の高機能材料を開発する事例が挙げられます。
 自社はポリマーサイエンスの強さ、ドクターの数で大手競争相手には勝てない。次々と新しい素材を生み出せる、高分子開発の時代は終わった。

 一方で研究者は、新しい素材を何とか生み出せないものかと思いがちだ。
 目的は高機能を実現すること。だったら、新しい素材を作る以外に、現行材料の持っている特徴を最大限生かす「やり方」もある。ナノレベルまで分散できる技術を用いて、新しい機能を生み出せないか…
 上ノ山氏は、実際この考え方を使って、主力製品を開発してきました。この成功方法をまとめると以下の解釈ができます。
 課題解決の内容や方法を検討する前提に、「やり方」がある。たとえばある機能を実現したい場合、「(その機能を実現できる)新たな材料の開発」などが「やり方」だ。

 しかし「やり方」は、思い付きや惰性で決めることがある。すると、失敗や生産性低下のリスクがある。またいったんそのやり方で開始すると、後戻りは難しくなる。

 そこでスタート段階で、得られる情報や知見、原理原則に基づいて、最善の「やり方」を考える。それはたとえば「現行材料の特長を混ぜ合わす」などだ。これによって、成功確率や生産性を高められる。
 生成AIを使って、「入り口を整える」場合、以下のような文章をプロンプトに加えると良いでしょう。
これから進めようとしている『やり方』は最善か。現在得られるあらゆる情報や原理原則から考えると、もっと妥当な『やり方』がないか
 入り口を整えないと、社員は生産性の悪い仕事、あるいは成果を上げられない仕事をすることになり、社員にとっても企業にとってもロスです。最善の「やり方」を明確化するために、「入り口を整える」をAIプロンプトに盛り込むことが重要です。 【次ページ】【安川電機】「自分の能力を高める」ためのプロンプト
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