• 2026/04/10 掲載

米国も落胆…ソニー・ホンダのEV車発売中止、最強タッグが中国勢に完敗した決定的理由(2/2)

連載:米国の動向から読み解くビジネス羅針盤

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ホンダ周辺でささやかれる“心配事”とは…

 ホンダは2022年に、オハイオ州で操業中のメアリズビル工場とイーストリバティ工場に7億ドル(約1,118億円)以上を投じて、EV製造拠点に作り替えることを発表。2030年までにガソリン車やハイブリッド車の製造をフェーズアウトする計画であった。EV化に向けた投資額は後に、10億ドル(約1,600億円)以上に引き上げられ、現在は本番の一歩手前である立ち上げ段階に到達している。

 これらの工場では、AFEELAと共通部品を使う次世代EVのHonda 0シリーズSUVとSaloon、さらにAcura RSXのSUVも同時に生産し、2026年中に販売を開始する計画であった。

 ところがホンダは3月12日に、2026年3月期に最大6,900億円の赤字を計上する見込みを明らかにし、これらすべてのモデルの開発を中止する決断を発表したのだ。

 実際に、影響は直接部品やシステムをホンダに納入する予定であったTier 1(一次請け)サプライヤーや、そのTier 1企業に部品を供給する予定のTier 2サプライヤーに及び始めていると、英自動車製造専門サイトのAutomotive Manufacturing Solutionsは伝えている

 さらに同サイトは、ホンダと韓国LGエナジーソリューションが合弁で同州ジェファーソンビルにおいて立ち上げ段階まで到達させたL-Hバッテリーカンパニーの運命も定かではなくなったと解説している。同工場には総額440億ドル(約7兆円)の巨費が投資され、当初は600人の雇用を地元にもたらす予定である。

 だが、肝心の納入先であるホンダがEV製造を断念したことにより、EV向けバッテリー製造からハイブリッド車向けバッテリー製造に切り替えることになった。

 EV向けバッテリーとハイブリッド車向けバッテリーは設計思想や構造、製造工程が大きく異なるため、転換には大きな困難が予想されるとAutomotive Manufacturing Solutionsは説明した。この壁をいかに突破するか、ホンダとLGエナジーソリューションの対応力が試されていると言えよう。

 いずれにせよ、すでに生産ラインが完成し、販売の一歩手前まで来ていたモデル開発を自動車メーカーが中止することは極めて異例であり、地元では固唾を飲んでホンダの次なる一手を待っている状況だ。

EV路線継続中のカリフォルニア州も大ダメージ

 AFEELAの販売中止は、同モデルが全米に先駆けて独占投入されるはずであったカリフォルニア州にも波紋を広げている。トランプ政権のEV補助金など支援打ち切りに対抗して、EVシフトの継続を誓うカリフォルニア州にとって、AFEELAは心強い援軍であったためだ。

 実は、この発表のほんの数日前の3月21日に、同州のトーランス市でAFEELA展示スタジオ&デリバリーハブのお披露目会が開催されていた。地元トーランス市長もその場にかけつけ、関係者らがテープカットを行い、地域コミュニティとの関係を強調したばかりであった。

 だが現実問題として、カリフォルニア市場における2025年の新車EV販売台数は40万8731台と、2024年の44万3374台から大きく減少している。

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【画像付き記事全文はこちら】
カリフォルニア州における電気自動車の年間販売台数
(画像:本文をもとにAI(Gemini/Nano Banana)を使用して生成)

 さらに、新車販売に占めるEVの割合も2024年に25%をこえていたものが、2025年には前年を下回っている。

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カリフォルニア州における電気自動車の市場シェア
(画像:本文をもとにAI(Gemini/Nano Banana)を使用して生成)

 このままでは、カリフォルニア州が独自で制定し合計17州とワシントンDCが採用しているアドバンスト・クリーンカーII(ACCII)が義務付ける「2026年の新車販売の内35%をEVにする」目標達成は絶望的だ。

 また、トランプ政権が2025年にACCIIを無効化したため(現在、裁判で係争中)、SHMのビジネスの前提が崩れてしまっていた。これがSHMにとって、AFEELAの開発と販売を中止する都合の良い口実となった面もある。

なぜ中国勢に負けた?「AFEELAの敗因」とは

 AFEELAは比較的旧式の思想で設計されていたため、高いお値段にもかかわらず航続距離が300マイル(約483キロメートル)しかなく、充電規格も現在主流の350キロワット級と比較して、一世代前の150キロワット級と遅いため、消費者から敬遠される可能性が高かった。

 AFEELAの市場投入計画は同じくテック企業でありながらEVメーカーとして「変身」することに成功した中国のシャオミ(小米)などと比較して遅すぎた。登場があと3年早ければ、まだ成功の可能性があったかも知れないと思われる。

 AFEELAの「失敗」を踏まえて、今後の米EV市場における売れ筋を予想するなら、安価であることはもとより、航続距離や充電時間など何かライバルよりも突出した高い機能性をアピールできることが大事ではないだろうか。

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