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- 2026/02/17 掲載
なぜトヨタはフォルクスワーゲンに圧勝?中古価値・販売地域でわかる“決定的な差”
執筆のメインフィールドは自動車関係。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。特にインタビューを得意とする。見えにくいエンジニアリングやコンセプト、魅力などを分かりやすく説明できるよう心掛けている。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。レース経験あり。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を約10年経験。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員、自動車技術会会員、環境社会検定試験(ECO検定)。
絶好調トヨタと現状維持のVW、両社の違いはどこに…?
2025年のトヨタの世界販売は、トヨタ(レクサス含む)単体で1053万6807台、グループ傘下のダイハツ、日野自動車をプラスすると合計1132万2575台となりました。これは、2年ぶりとなる過去最高を更新する数字であり、ライバルとなる販売台数世界2位のフォルクスワーゲン・グループの898万3000台を大きく上回る結果となっています。ちなみに、フォルクスワーゲン・グループ(アウディ、シュコダ、セアト、ポルシェなど)の2025年の世界での販売台数は前年比マイナス0.5%の微減。また、フォルクスワーゲン・ブランド単体での販売は約473万台に留まり、グループ内ブランド2番目の規模となるアウディが約162万台、続くシュコダの約104万台となっています。
そのほか、フォルクスワーゲン・グループ内にある超高級ブランドのベントレーとランボルギーニは、それぞれ年間1万台といった規模感です。フォルクスワーゲン・グループのほぼ昨年比で見て現状維持となる2025年の販売台数は、EVシフトの世界的な停滞や中国市場の競争激化を考えれば、相当に頑張った数字と言えるのではないでしょうか。
一方のトヨタは、2023年に続いて過去最高を更新しました。トヨタ(レクサス含む)の販売台数は、この10年ほど年間900万台前後で伸び悩む状況が続いていました。しかし、コロナ禍明けの2023年に約1030万台を記録し、初めて1000万台を突破。その後も2024年は約1015万台、2025年は約1053万台と、安定して1000万台超を維持しています。
こうしたトヨタの強さにはさまざまな要因がありますが、特に大きいとみられるのが「全方位」という戦略です。技術面、販売地域、そして商品ラインナップのいずれにおいても、特定の分野に偏らず幅広く展開している点が特徴です。
トヨタを語るうえでこの「全方位戦略」はたびたび取り上げられますが、それが本当に好調を支える要因になっているのでしょうか。異なる戦略を進めるフォルクスワーゲンとの比較を通じて、戦略の違いがもたらす結果について考えていきます。
【比較1】トヨタの「技術戦略」の成果
トヨタの強さにはさまざまな要因がありますが、なかでも大きいと考えられるのが「全方位」という戦略です。トヨタは、技術、販売地域、製品ラインナップのいずれにおいても、特定の分野に絞らず幅広く展開しています。技術面では、カーボンニュートラルの実現に向けて「マルチパスウェイ」という考え方を掲げています。脱炭素への道筋は一つではなく、複数あるという立場です。バッテリーEV(BEV)だけでなく、ハイブリッド(HEV)、プラグインハイブリッド(PHEV)、燃料電池車(FCEV)、さらにカーボンフリー燃料を活用するエンジン車(ICE)まで視野に入れています。あらゆる可能性を残す方針です。実際にトヨタは、HEV、BEV、ICEなど主要なパワートレインをすべて揃えています。まさに“全方位”の展開です。
こうした技術面での全方位戦略は、開発や投資の負担が大きい一方で、市場環境の変化に柔軟に対応できる強みがあります。実際、世界的にEVシフトが一時的に鈍化している現在でも、ハイブリッド技術とその商品群を持つトヨタは大きな影響を受けていません。
【比較1】VWの「技術戦略」の成果
ライバルとなるフォルクスワーゲンは、逆にEVシフトに賭けて、バッテリーEVに大きな投資をかけました。バッテリーEV(BEV)の2025年の販売は、前年比プラス32%と伸びていますが、グループ全体の全販売台数に占める割合は11%に過ぎません。一方で、エンジン車の「ゴルフ」は、主力モデルでありながらも、おざなりと感じられるような扱いです。
また、本格的なフルハイブリッド・システムを持っていないのもフォルクスワーゲンの弱みでしょう。そのため、EVシフトが停滞して、エンジン車勝負になると、ハイブリッド(HEV)技術を持つトヨタに対して不利になってしまうのです。 【次ページ】比較(2):トヨタの「販売エリア戦略」の成果
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