• 2026/04/15 掲載

ヤバすぎ…米国の4割が「経済崩壊」覚悟、景気後退が現実になる「原油○○ドルの壁」

連載:米国の動向から読み解くビジネス羅針盤

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トランプ大統領の命令により2月28日に開始された米国の対イラン攻撃によって、日本や米国の燃料価格が高騰した。エネルギー源を輸入に頼る日本と違い、米国は世界最大の産油国だが、原油価格の上昇は製造や物流、航空などあらゆる領域に悪影響をもたらしている。1バレル当たりの原油価格が110ドルを超え、インフレと同時に景気後退が起こるスタグフレーションの可能性さえ論じられ始めた。2026年に米経済は本当に景気後退するのだろうか。
執筆:在米ジャーナリスト 岩田 太郎

在米ジャーナリスト 岩田 太郎

米NBCニュースの東京総局、読売新聞の英字新聞部、日経国際ニュースセンターなどで金融・経済報道の基礎を学ぶ。現在、米国の経済を広く深く分析した記事を『週刊エコノミスト』などの紙媒体に発表する一方、『Japan In-Depth』や『ZUU Online』など多チャンネルで配信されるウェブメディアにも寄稿する。海外大物の長時間インタビューも手掛けており、金融・マクロ経済・エネルギー・企業分析などの記事執筆と翻訳が得意分野。国際政治をはじめ、子育て・教育・司法・犯罪など社会の分析も幅広く提供する。「時代の流れを一歩先取りする分析」を心掛ける。

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1ガロン当たりのレギュラーガソリン価格における全米平均価格の推移
(AI(Gemini/Nano Banana)を使用して生成)

製造・物流だけじゃない…肥料も爆上がり

 資源エネルギー庁によると、日本では4月8日時点のレギュラーガソリンの全国平均価格は1リットル当たり167.4円と3週連続で値下がりした。3月16日時点の190.8円に比べると落ち着きを見せ始めているが、企業への打撃はいまだ大きい。

 一方、米国では全米平均価格が1ガロン(約3.785リットル)当たりのレギュラーガソリン価格が3月31日に約4年ぶりに4ドル(約635円)を超え、開戦前の2月28日から1ドル近くも上昇した。英シンクタンクのパンテオン・マクロエコノミクスでは、これがいずれ4.20ドルまで値上がりすると予測している。

 ただ、これはあくまでも全米平均価格である。西海岸カリフォルニア州などでは1ガロン当たりの価格が5ドル(約798円)を超えるなど、国民生活への悪影響が甚大だ。燃料費高騰を通して製造や物流はもとより、家畜生産や食品など、連鎖的なインフレ高進が懸念されている。

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【画像付き記事全文はこちら】窒素系肥料の生産に使われる尿素の米先物価格の推移
(AI(Gemini/Nano Banana)を使用して生成)

 たとえば世界の肥料輸送の3分の1がホルムズ海峡を通過するため、米中西部のトウモロコシ農家が多用する窒素系肥料の尿素価格が、1トン当たり700ドル(約11万1,700円)近くに上昇した。これに加えて、トラクターやコンバインなど農機に使われるディーゼル燃料も戦闘開始以降で約3割超上昇。トウモロコシを飼料とする家畜生産コストの上昇による食肉価格の値上がりも心配される。

 実際に、米労働省が4月10日に発表した3月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.3%上昇し、2月の2.4%から大幅に加速。イラン戦争で原油価格が急騰し、ガソリンが21.2%の値上がりと、月間上昇率の約4分の3を占めたためだ。米ファイナンシャル・プランナー企業のハリス・ファイナンシャルグループのエコノミストであるジェイミー・コックス氏は4月10日付の米ニューズウィーク誌の記事で、「エネルギー価格の値上がりが(ここ数か月下落傾向にあった)食品価格などに波及するのは時間の問題であり、4月には(エネルギーなど一時的で変動の激しい項目を除外した)コアインフレ率が大きく上昇するだろう」と予測した。

燃料価格が「下がった日本」「下がらない米国」の差

 こうした中、各国政府は燃料価格を抑制する政策を矢継ぎ早に打ち出した。国際エネルギー機関(IEA)は3月11日に、日本や米国を含む加盟32カ国が過去最大となる計4億バレルの石油備蓄を協調放出することで合意したと発表した。

 最も多い量を放出する米国は1億7220万バレル、米国に次ぐ2位の日本は7980万バレルを分担する。ただし、これは世界全体の3~4日分の供給量にしかならず、実際に原油価格を押し下げる効果は小さかった。そのため、前述のように日米におけるガソリン価格は大きく上昇したのである。

 これに加え、日本では1リットル当たり30.2円のガソリン補助金給付を開始、その効果が即座に表れたことで、3週連続で価格が減少したと思われる。

 一方、米国は日本とは異なるアプローチを採った。トランプ政権は3月12日に、すでに船舶に積み込まれたロシア産の原油または石油製品に限り、各国が特定のロシア産原油を一時的に購入することを許可すると発表した。さらに3月20日には、同様にタンカーに積載されたまま海上に放置されていたイラン産原油の販売を30日間に限り許可した。

 米エネルギー情報局(EIA)によると、タンカーに積み込まれていたイラン産原油の量は1億4000万バレル相当で、世界の石油需要を約1日半満たせる量である。

 加えて米国は、米海軍によるタンカーや商船の護衛と組み合わせる形で、最大200億ドル(約3.2兆円)の海運再保険を提供し、物価上昇を抑制すべく内航海運に外国船の一時的利用を容認した。

 だが、これらの大型施策は原油価格やガソリン価格の顕著な下落にはつながらなかった。 【次ページ】即効薬はトランプ大統領が“TACOる”こと?
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