- 2026/04/10 掲載
安いのは今だけ?なぜコメ価格は再び上がるのか、JA全農も読めない“異常事態”の正体
愛媛県生まれ。京都大学文学部卒。中国・北京大学修士課程(歴史学)修了。時事通信社を経てフリーに。新刊に『ウンコノミクス』(インターナショナル新書、2025年4月)、『日本一の農業県はどこか―農業の通信簿―』(新潮新書、2024年1月)、共著に『人口減少時代の農業と食』(ちくま新書、2023年)、『誰が農業を殺すのか』(新潮新書、2022年)など。日本の食と農に潜む課題をえぐり出したとして、食生活ジャーナリスト大賞ジャーナリズム部門(2023年度)受賞。雑誌や広告など企画編集やコンサルティングなどを手掛けるウロ代表取締役
肥料輸送が限界に、喜望峰経由で広がる“見えないコスト”
イエメンのフーシ派による紅海を通行する船舶への攻撃の影響で、一部の肥料の輸送ルートはすでに伸び切った状態にある。JA全農耕種資材部肥料原料課の土屋雅俊課長は、リン酸肥料で輸送の変更を迫られていると話す。「モロッコからアフリカの西を通って、喜望峰を回ってアジアに来る。もともと紅海を通るルートでしたが念のため今は通っていません」
従来は紅海経由だったのが、安全の問題から喜望峰ルートへと迂回しているのだ。輸送の距離は数千キロ、日数は2週間程度延びる。
「日数が延びる分、船運賃が余計にかかります。イラン情勢による原油高も影響して、船の燃油代も上がっています」(土屋氏)
肥料には作物の生育に欠かせない3要素として、窒素、リン酸、カリ(カリウム)がある。花や実を結ぶのに必要なリン酸を、日本は主に中国とモロッコから調達している。
もとはといえば、お隣の中国から調達すれば良かった。ところが中国が内需を優先し、2021年から禁輸措置を講じるようになる。その後、モロッコからの調達が増えた。
そもそも輸送距離が延びていたところに、2023年11月以降、イスラエルとハマスの紛争を受けてフーシ派が商船の攻撃を繰り返すようになる。以来、紅海の航行は安全上の理由から避けられることが多くなった。イラン情勢を受けて、イエメンの武装組織フーシ派が紅海の封鎖も辞さないと発表したことで、安全な通行が以前にもまして危ぶまれている。
4月7日(米東部時間)、米国とイランは2週間の停戦に合意し、ホルムズ海峡は一時的に運航可能になったものの、結果として、輸送ルートはかつてない延び方をしているのだ。 【次ページ】JA全農が語る異常事態、それでも日本で騒がれない2つの理由
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