• 2026/01/27 掲載

なぜトランプはここまで踏み込むのか、ベネズエラ政変の裏にある「米国の経済戦略」

連載:小倉健一の最新ビジネストレンド

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2026年1月、米国の攻撃によりベネズエラのマドゥロ政権が崩壊した。世界最大級の石油資源の確保が狙いの一端とも言われているが、そこから浮かび上がってくるのは、自国の経済成長におけるエネルギーの存在を、トランプ政権の米国がいかに重視しているかという点だ。「AI時代」を迎えるに当たっては、エネルギーを確保できないことが国家として大きな痛手となる中、エネルギー自給率が先進国で最低レベルの日本はどうエネルギーの安定確保と向き合うべきなのか。元プレジデント編集長の小倉健一氏が解説する。
執筆:ITOMOS研究所所長 小倉 健一

ITOMOS研究所所長 小倉 健一

1979年生まれ。京都大学経済学部卒業。国会議員秘書を経てプレジデント社へ入社、プレジデント編集部配属。経済誌としては当時最年少でプレジデント編集長。現在、イトモス研究所所長。著書に『週刊誌がなくなる日』など。

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米国のベネズエラ攻撃で浮かび上がる「エネルギー事情」とは
(Photo/Shutterstock.com)

トランプ政権が仕掛けた突然の「崩壊劇」

 2026年1月、南米ベネズエラで長年独裁を続けたニコラス・マドゥロ政権が崩壊した。アメリカ軍の作戦と内部の呼応による劇的な幕切れだった。だが、これを単なる政治ドラマとして見てはいけない。裏にあるのは、トランプ大統領の冷徹な国家戦略、「エネルギー帝国」への野望だ。

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トランプ政権によるベネズエラ攻撃は唐突だった
(Photo/Shutterstock.com)


 米国の狙いは、ベネズエラの地下に眠る世界最大級、推定3000億バレルの石油だとされる。サウジアラビアさえ凌ぐこの富が、設備不良と政治的混乱で塩漬けになっていた現状を、トランプ政権は許さなかった。「壊れたガソリンスタンド」を力ずくで修理し、ライバル国に渡る前に蛇口を握る。目的は「正義」ではなく、国家のエンジンを動かす燃料の確保だ。

 無論、荒廃した油田の再生には莫大なリスクがある。当初、エクソンモービルなどの米石油メジャーは再進出に消極的だった。だが、トランプ政権は企業の背中を国家権力で強引に押した。米国のメディアPOLITICOの以下の報道は、その圧力を伝えている。

「トランプ大統領の閣僚らが、石油会社の最高経営責任者(CEO)らとの初の公式電話会談を予定しており、ベネズエラの低迷する石油生産を復活させるよう圧力をかける構えだ」

「トランプ大統領が記者団に対し、『我々の非常に大きな米国の石油会社』がベネズエラに『数十億ドルを費やすことになる』と語った数日後のことである」

(POLITICO,『Trump administration launches new bid to pressure US oil companies on Venezuela』,1月5日)

 この動きからもトランプ大統領の「エネルギー確保こそが国家存亡の鍵」という揺るぎない考えが見て取れる。なりふり構わぬこの経済・産業界への働きかけこそが、不安定な世界でアメリカを再び「最強」へ押し上げようとする原動力なのだろう。 【次ページ】日米の「ここまで違う」エネルギー経済姿勢
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