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- 2026/03/31 掲載
なぜ日本の原発は動かない? 停滞を打破する「米国の良い規制」5つの原則
連載:小倉健一の最新ビジネストレンド
1979年生まれ。京都大学経済学部卒業。国会議員秘書を経てプレジデント社へ入社、プレジデント編集部配属。経済誌としては当時最年少でプレジデント編集長。現在、イトモス研究所所長。著書に『週刊誌がなくなる日』など。
経済停滞と規制の「意外な関係」
日本経済の停滞を打破するためには、経済活動に関連する規制の是非について、今一度見つめ直すことも重要だ。今回は、米国の原子力規制委員会(NRC:Nuclear Regulatory Commission)が定めた「良い規制の原則」という歴史的成功例を参考に、日本においても規制をかける側に対して「科学的根拠」と「費用対効果」の説明責任を求めることの重要性を解説していく。そもそも、規制という言葉を聞くと、私たちの生活や安全を守るために必要不可欠なものだと考える人は多いだろう。もちろん、規制がまったくなければ、乱暴な振る舞いをする者が利益を独占し、社会に悪影響を及ぼしてしまう。しかし、過剰な規制は経済の活力を著しく奪ってしまう毒にもなる。
たとえば、フランスでは飲食店を開業するための規制が非常に厳しく、特別な許可を得るためのハードルが高すぎるため、飲食業界全体が衰退してしまうという問題が起きている。一方で、そうした厳しい開業規制が少ない日本では、ミシュランガイドに載るような素晴らしい飲食店が次々と生まれている。規制は本来ないほうが経済にとっては良いが、ゼロにはできない。だからこそ、そのバランスが極めて重要になるのである。
日本は「バランス崩れ」と言えるワケ
しかし、現在の日本ではこのバランスが大きく崩れていると言える。何か新しいビジネスを始めようとする側や、古い規制をなくしてほしいと声を上げる側に対してばかり、「何か問題が起きたらどうするんだ」「見えないリスクがあるのではないか」と、極めて重い説明責任が求められる。本来であれば、ルールを作る行政側が「なぜその規制が必要なのか」を説明すべきである。そうした中で、日本の行政はリスク面に重きを置き、規制を増やす傾向があるのではないだろうか。
インバウンド(外国人観光客)の受け入れを例に考えてみよう。当初、警察当局は「外国人が増えたら犯罪が増えるのではないか」と強い懸念を示していた。しかし、実際に観光客を受け入れてみると、彼らが犯罪を犯すことは少なく、不安は杞憂に終わったのである。政治の決断で規制を緩和したからこそ、今の観光立国としての日本の成功がある。やってみなければわからないリスクに対して、過剰に怯える必要はなかったのだ。 【次ページ】米国から学ぶべき「原発規制の在り方」
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