- 2026/07/25 07:50 掲載
折りたたみスマホはAI端末の本命?サムスン新型とアップル参入で変わるスマホの常識
ただの大画面ではない、サムスン新型が狙うAIの入口
韓国サムスン電子は2026年7月22日、横開き型の折りたたみスマートフォン「Samsung Galaxy Z Fold8」と上位機種の「Samsung Galaxy Z Fold8 Ultra」を発表した。日本では7月23日に予約を始め、8月7日に発売する。今回の新機種で目を引くのは、処理性能やカメラだけではない。端末のサイズと画面比率を変え、折りたたみスマートフォンの役割そのものを再設計した点である。Fold8はメイン画面が約7.6インチ、カバー画面が約5.5インチで、重さは201g。閉じた状態では一般的なスマートフォンに近く、開けばタブレットのような横長画面になる。上位のFold8 Ultraは約8.0インチ、215gで、開いた状態の厚さは4.1mmだ。Fold8 Ultraは資料作成やコンテンツ制作、Fold8は動画や読書など、同じ横開き型でも利用目的を分けた格好である。
しかし、横長のブック型はサムスンだけの発想ではない。米モトローラ・モビリティの「motorola razr fold」も、閉じた状態では6.6インチ、開けば8.1インチになる。各社が似た形へ向かうのは、単なる流行ではないだろう。画面を広げるだけでなく、AIの回答、元資料、操作画面を同時に表示するには、細長い画面より横方向の広さが必要になるからだ。
サムスンのTM・ロー社長は、AIが利用者の意図を理解して自律的に行動するエージェントへ進化する中、モバイル端末は「最もパーソナルな入口」になるとの見方を示した。つまり今回の横長化は、動画を大きく見るためだけの改良ではない。AIに指示を出し、その結果を確認しながら次の作業へ移るための“操作盤”を、ポケットに入るサイズで作ろうとしているのである。スマートフォン競争の新しい主戦場だ。
折りたたみだから便利になるAI作業とは何か
では、折りたたみ端末でなければ成立しにくいAI作業とは何か。第1は、複数の情報を見比べながら進める仕事である。たとえば、画面の左側にオンライン会議の議事録、右側に生成AIの要約を表示し、内容を確認しながらメールを作成する。通常のスマートフォンでもアプリの切り替えは可能だが、情報を頭の中に保持しながら往復するため、操作回数が増えやすい。これに対し、横長画面では原文とAIの回答を同時に確認できる。見積書と過去の契約条件を比較する、Web会議を見ながら社内チャットへ指示を出す、外国語の資料と翻訳結果を並べるといった作業で強みが出る。サムスンもFold8シリーズについて、大画面に最適化したGalaxy AIやGeminiとの連携により、複数の作業を少ない手順で進められると説明している。
第2は、画像や現実の風景をAIに見せながら進める作業だ。カメラで機械や商品を映し、故障箇所や型番を調べながら、別の画面でマニュアルを開く。店舗では棚の写真から欠品を確認し、発注画面へ移る。営業担当者なら名刺や資料を読み取らせ、その場で面談記録を作成する使い方も考えられる。端末を半開きにすれば、机に置いたまま撮影と入力を並行できる。
もっとも、画面が大きいだけで仕事が自動化されるわけではない。AIが別のアプリを操作できること、企業データへ安全に接続できること、回答の根拠を確認できることが欠かせない。折りたたみ端末の価値は「表示領域の広さ」ではなく、AIが実行した処理を人が監督しやすい点にある。AIにすべてを任せるのではなく、途中経過を見ながら承認する。ここに、パソコンとも通常型スマートフォンとも異なる可能性がある。 【次ページ】アップル参入で始まるAI体験の囲い込み競争
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