- 2026/07/28 16:00 更新
韓国SKハイニクス決算、HBM爆売れで営業利益557%増、それでも消えない「3つの不安」
前日の急落から一転、最高益で株価が反発
韓国の半導体大手SKハイニクスは2026年7月29日、2026年4~6月期の売上高が前年同期比257%増の79兆3,187億ウォン(約8兆9,400億円)、営業利益が557%増の60兆5,426億ウォン(約6兆8,200億円)になったと発表した。営業利益率は76%。売上高、営業利益とも四半期として過去最高を更新した。ところが、決算直前の7月28日、韓国市場のSKハイニクス株は前日比14.65%安の155万ウォンで取引を終えていた。AI関連銘柄への売りが広がり、韓国総合株価指数も大幅に下落。AIデータセンターへの巨額投資がいつまで続くのか、中国勢がどこまで追い上げるのかという警戒が一気に噴き出し、日本のキオクシアもストップ安水準で引けていた。
それでも決算発表後は買い戻しが入り、株価は一時、前日比約4%高へ転じたという。市場予想を下回った売上高よりも、過去最高の利益と旺盛なメモリー需要を評価する動きが勝った格好である。
ただし、この反発だけで市場の不安が消えたとは言い切れない。焦点は「今、どれだけ儲かっているか」ではなく、「この異常な高収益が何年続くか」に移っているためだ。最高益を歓迎する買いと、メモリー相場のピークを警戒する売り。その綱引きが、激しい値動きの正体といえる。
利益率76%を生んだHBM、強すぎる収益構造
SKハイニクスの高収益を支えたのが、HBM(広帯域メモリー)をはじめとするAIサーバ向け高付加価値製品である。HBMは複数のDRAMを垂直方向に積み重ね、GPUとの間で大量のデータを高速にやり取りする製品だ。生成AIの学習や推論では、GPUの演算速度だけでなく、メモリーからデータを送り込む速度が性能を左右する。AI時代の“情報の通り道”という位置づけだ。同社によると、4~6月期はHBM、AIサーバ向けDRAM、企業向けSSDの販売が伸び、DRAMとNAND型フラッシュメモリーの価格も前四半期から大幅に上昇した。単にメモリー市況が回復しただけではない。供給能力が限られる高性能品へ生産を集中し、高い価格でも購入するAI企業を顧客として押さえたことが、営業利益率76%につながった。
さらに、SKハイニクスは次世代製品HBM4の量産出荷を4~6月期に始め、2026年後半に生産を拡大する。同社は顧客が求める動作速度に加え、電力効率やコスト競争力でも優位性があると説明している。
参入障壁も高い。HBMはDRAMを作れば完成する製品ではなく、積層、接合、放熱、検査、パッケージングを高い精度でまとめ上げる必要がある。歩留まりが低ければ、需要があっても出荷量は増やせない。顧客のGPUやシステムに合わせた認証にも時間がかかる。つまり、需要急増をすぐ売上高に変えられる企業は限られる。SKハイニクスが握ったのは、AI投資の拡大局面で最も不足しやすい部品の供給力なのである。 【次ページ】株価反発でも消えない、AIメモリー相場の3つの死角
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