0
いいね!でマイページに保存して見返すことができます。
ダンスやコメディー、動物から政治まで、どのような興味にも対応できるコンテンツでにぎわうTikTok。近年は、投資や資産形成などの金融に関して助言するインフルエンサー「フィンフルエンサー」が台頭し、2000年前後に生まれたZ世代から大きな支持を集めている。一方で、儲け話を真に受けて最悪な被害に至るケースも散見される。それでもなぜ、Z世代はあえてTikTokから金融情報を得ようとするのか。人気フィンフルエンサーを紹介しつつ、TikTokにおける金融情報の実態を探る。
Z世代の4割が視聴? フィンフルエンサー人気のワケ
TikTokは、全世界で月間アクティブユーザー数が10億人を突破したとされる。中でもZ世代から絶大な支持を受け、ユーザーの高い割合を占めている。そのZ世代は金融に関する情報を、書籍や雑誌、投資サイトなどではなく、TikTokの短編動画で得ているようだ。
米フィンテックサイトを運営するLendingTree傘下のMagnifyMoneyが2021年1月に調査したところによれば、Z世代の41%が「過去1カ月内にTikTokで投資情報を得た」と回答。これは、ミレニアル世代回答者の15%と比較すると顕著に高い。
TikTok上には、#investing(投資)、#crypto(暗号資産)、#personalfinance(個人資産管理)などのハッシュタグがついた数百万の動画があふれている。特に、#fintok(ファイナンシャル×TikTok)は300万人以上がフォローする。Instagramでも金融コンテンツは人気だが、TikTokは群を抜いている。
その大きな理由は、金融インフルエンサーであるフィンフルエンサー(FinTokersとも呼ばれる)が数百万のフォロワーを集める人気さを見せていることだ。さらにTikTokのAIアルゴリズムが金融に関心を見せたユーザーに繰り返しフィンフルエンサーのコンテンツをおすすめすることで、視聴回数はさらにはね上がる。そのような動画がより多く作られる仕組みも、「バズる」要因となっている。
これらTikTok上の金融情報は、「教育」ではなく「エンタメ」としてZ世代に受け止められている。
米Greenlightのティム・シーハンCEOは、TikTokの「金融エンタメ」は紙の教科書や投資サイト上の長文の説明とは違い、「短くて一瞬でわかり、注意をひきやすい内容」と指摘する。これも人気の要因であるようだが、そもそもの短編フォーマットからして投資や資産形成の話がエンタメにならざるを得ないのだ。
このような背景の下で台頭した金融TikTok。よく視聴されるフィンフルエンサーにはスポンサーがつき、年間27万5,000ドル(約3,594万円)から75万ドル(約9,801万円)を稼ぐと、米フォーブス誌は報じている。
人気フィンフルエンサー5人を紹介
では、具体的にどのような人たちが人気となっているのだろうか。
■日本で半生を過ごした「エリカ・カルバーグ氏」
エリカ・カルバーグ氏は33歳の元企業弁護士で、TikTok上に910万人のフォロワーを持つ「大物」だ。米国生まれだが、米空軍勤務の父に連れられて、子供時代の半分を日本で過ごした経験を持つ。
賢い消費者になる方法、キャリアのアドバイス、法律や投資など守備範囲は広く、1本のスポンサー付き動画で7,000ドル(約91万4,700円)を稼ぐ。最近の投稿で人気だったものは、「タダでナイキのシューズをゲットする方法」であった。カルバーグ氏はYouTubeでも人気があり、そちらでは年間10万ドル(約1,307万円)の収入を得るユーチューバーだ。
【次ページ】もう4人のフィンフルエンサーは?
関連タグ