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- 2023/02/08 掲載
「REIT下落」の理由を説明できる? 既に起きている”投資トレンドの変化”とは
加谷珪一(かや・けいいち) 経済評論家 1969年宮城県仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。 野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。著書に『貧乏国ニッポン』(幻冬舎新書)、『億万長者への道は経済学に書いてある』(クロスメディア・パブリッシング)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)、『ポスト新産業革命』(CCCメディアハウス)、『新富裕層の研究-日本経済を変える新たな仕組み』(祥伝社新書)、『教養として身につけておきたい 戦争と経済の本質』(総合法令出版)などがある。

マーケットはすでに金利上昇を前提に動き始めている
日銀は2022年12月の金融政策決定会合において、長期金利の上限を0.25%から0.5%に拡大する決定を行った。これは、イールドカーブ・コントロールと呼ばれる長短金利操作の軌道修正を行ったもので、事実上の利上げと報じたメディアが多かった。金融政策に関する専門家の間では、この措置は利上げに相当するのかしないのか、といった議論が戦わされているが、こうした議論はあくまで金融政策論という狭い世界に限定されたものと考えて良いだろう。0.25%から0.5%というわずかな修正とはいえ、長期金利を一定水準に固定するという特殊な政策を行っていた現実を考えると、上限幅を拡大したことは、日銀が長期金利のコントロールを事実上放棄したことに等しい。
市場はこの決定を受けて、日銀のさらなる金利引き上げを期待して、2023年1月の金融政策決定会合を前に大量の国債売り注文が出された。日銀はこれらを買い支えるため、連日5兆円規模の買い入れを行うなど、状況は一段と厳しくなっている。
1月の金融政策決定会合では、何とか市場の圧力を跳ね返し現状維持を決定した。2月には金融政策決定会合は開催されず、次回は3月の予定だが、3月の会合は黒田総裁にとって最後の会合となるため、大きな決断をするとは考えにくい。結果として4月以降、新体制での金融政策決定会合において政策の再修正が行われるとの期待が高まっており、国債の売り圧力はさらに強くなると予想される。
市場というのは、常に現実よりも三歩先を見据えて動くものであり、市場は長期金利が1%あるいはそれ以上に上昇することを前提に動き始めている。
2022年の年末以降、不動産会社の株式や、REIT(不動産投資信託)の株価(投資口価格)下落が顕著となっている。日本では長年続いたデフレの時代が終わりつつあり、インフレへの転換がほぼ確実な状況となっている。物価上昇に合わせて不動産価格は上がっていくのが常なので、本来なら不動産会社の株式やREITは有利な投資対象と言える。だが不動産会社の株式やREITが下落しているのは、物価上昇と同時に金利の上昇も見込まれるからである。
【次ページ】REIT価格が下落している理由
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