- 会員限定
- 2023/09/11 掲載
「AI人間化」時代突入、まさかの今年から? 生成AIの価値創出が「年900兆円」の試算も
生成AIが価値を与える「上位4職種と3業界」
マッキンゼー・アンド・カンパニーは、2023年6月14日に「生成AIの経済的可能性:次の生産性フロンティア」を発表した。世界の労働力の80%に相当する47カ国、850の職業を抽出し、それぞれの職業を構成する2100以上の作業について、生成AIがどれだけ代替/自動化できるかを調べ、それを各職業での時間構成比や人数構成比に合わせて集計している。企業が生成AIをどのように使うか、それによって経済活動がどう変わるか、などを考える際に、このレポートは貴重な資料となるので、以下にその概要を紹介しよう。
生成AIの活用によって生産性が上昇し、新たな経済価値が生み出される。生成AIは、知識労働、特にこれまで自動化が難しかった意思決定や、コラボレーション・コミュニケーションを伴う活動に最大の影響を与える可能性がある。
生成AIが価値を提供できる上位の職種は、「顧客対応」「営業/マーケティング」「システム開発」「研究開発」だ。この4つの職種で生成AIが提供する価値の75%以上を占める。「営業/カスタマーサービス」部門では、57%の業務が生成AIや既存テクノロジーによって自動化可能だ。
顧客とのやり取りをサポートし、マーケティングと販売のためのクリエイティブコンテンツを生成し、自然言語プロンプトに基づいてコンピューターコードをドラフトする。
生成AIはすべての業界に大きな影響を与えるが、銀行、ハイテク、ライフサイエンスは生成AIが最大の影響を与える可能性のある業界だ。銀行業界全体で、生成AIの技術は年間2,000億ドル(約29兆円)~3,400億ドル(約49兆円)の追加価値を生み出す。
顧客対応を「なんと50%」削減
マーケティングでは、パーソナライズされた電子メールなどのクリエイティブコンテンツを生成するために生成AIが利用される。クリエイティブコンテンツを生成するためのコストが削減され、収益は増加する。生成AIを活用したチャットボットは、顧客の言語や場所に関係なく、顧客の複雑な問い合わせに対して即座にパーソナライズされた応答を提供できる。生成AIは、より多くの顧客からの問い合わせ応答を自動化でき、これまで人間のエージェントによってのみ解決できた問い合わせも引き受けられる。
生成AIは、人間がサービスする連絡(顧客対応)の量を、最大50%ほど削減できる。個々の顧客の興味、好み、行動に合わせたパーソナライズされたメッセージを作成できるだけでなく、ブランド広告、見出し、スローガン、ソーシャルメディアの投稿、製品説明の最初のドラフト作成といったタスクを実行できる。
注目すべきは、組織内部の知識管理システムへの影響も指摘されていることだ。 【次ページ】「AIの人間化」は“何年”早まった?
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR