- 2025/06/27 掲載
アクセンチュア徹底解説「マーケティング最新手法」、AI相棒が買い物を激変させるワケ
連載:アクセンチュア流 生成AI産業変革論
堺 勝信(さかい・かつのぶ)
アクセンチュア株式会社
ビジネス コンサルティング本部 データ&AIグループマネジング・ディレクター
北海道大学教育学部卒。25年以上に亘るコンサルティング経験があり、主に製造流通小売業界のクライアントに対して業務分析/業務改革、および業務改革を実現するためのシステムの企画~導入/運用まで一気通貫のプロジェクトを多数経験。2015年以降、業界横断にてAIを活用した業務・システム改革に多数従事。先端テクノロジーを活用してイノベーションを推進するリキッドスタジオやAI CoE(Center of Excellence)を立上げ。現在、企業の経営課題だけでなくその先の社会課題も解決してよりよい未来を創ることをパーパスとしながら、データ&AIグループのAIアーキテクトチームリード兼ジェネレーティブAIの日本リード兼ビジネスコンサルティング本部でのディスアビリティ・インクルージョンリードを担当。著書に『生成AI時代の「超」仕事術大全』と『Microsoft Copilot for Microsoft 365活用大全』。
未来の購買体験(1)ハイパーパーソナライゼーション
AIの進化により、今後、小売企業の「マーケティング活動」や、消費者の「購買体験」が大きく変わるかもしれない。企業によるプロダクトやサービス、体験の提供の形が、これまでのようなグループやクラスター単位から、よりきめ細かい“個客”単位に進化する未来は近い。加えて、生成AIにより顧客理解が深まり、私たち消費者1人ひとりのニーズや趣味・嗜好、その時の気分などに合わせてマーケティングコンテンツが生成されるようになるだろう。
それは具体的にどういうことか。たとえば、会社帰りに最寄り駅に着いたタイミングで、「自分へのご褒美と家族へのお土産にアイスクリームはいかがですか? 今ならバラエティボックス4個入りが15%オフ!」というクーポンメッセージが、家族のアットホームなイメージ写真と一緒に送られてきたらどうだろうか。筆者であれば、喜んでお店に向かってしまいそうだ。
そして、ハイパーパーソナライゼーションはマーケティングだけでは終わらない。お店に入ると、デジタル店員さんが話しかけてきてくれる。「〇〇さま、おつかれさまです。今日は近所の△△公園にカワセミがいたそうですよ~♪」と、まるで担当の美容師さんのように1人ひとりの性格や趣味・嗜好に合わせた話題で接客してくれるのだ。
さらに「今日も、アレルギーを持つお子さま用の豆乳アイスを用意しています。好評だった限定の柚子のブランマンジェも〇〇さまのために取っておきました。だいぶお疲れのようですし、カルダモンパウダーをつけておきます」と、こんな具合に自分のニーズや気分や体質・体調に合わせてカスタマイズもしてくれる。
「いつもの〇〇さまオリジナルモクテル(ノンアルコールカクテル)もご入用でしょうか?」「じゃ、今日は炭酸ビリビリでお願い」と答えると、その場で強炭酸水がつくられ、自分だけのオリジナルレシピのモクテルが用意される。瓶には今回だけのオリジナルラベルが印刷され貼られる。
こうして、最終的には“個客”に合わせた一品モノの商品・サービス・体験を提供してくれる未来がくるのだ。 【次ページ】未来の購買体験(2)デジタルバディ(AIエージェント)登場
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