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  • 2023/12/06 掲載

「2023年最も影響力のあるフィンテックイベント」では何が語られているのか?

FINOLABコラム

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2023年11月15~17日、国際展示場の全ホールを使って開催されたシンガポールフィンテックフェスティバル(Singapore FinTech Festival:SFF)は、昨年(2022年)を上回る150ヶ国から6万6000人が参加、970人の登壇者によって活発な議論が展開された。今年は、日本からの参加者も増えており、2024年3月に予定されている「Japan FinTech Week」開催に向けて、海外参加者にアピールする機会にもなった。

執筆:FINOLAB Head of FINOLAB 柴田 誠

執筆:FINOLAB Head of FINOLAB 柴田 誠

FINOLAB設立とともに所長に就任。東大経済学部卒、東京銀行入行、池袋支店、オックスフォード大学留学(開発経済学修士取得)、経理部、名古屋支店、企画部を経て1998年より一貫して金融IT関連調査に従事。2018年三菱UFJ銀行からMUFGのイノベーション推進を担うJDDに移り、オックスフォード大学の客員研究員として渡英。日本のフィンテックコミュニティ育成に黎明期より関与、FINOVATORS創設にも参加。

photo
2023年シンガポール最大のフィンテックイベントでは何が語られているのか?
(出典:シンガポール通貨金融庁 報道発表

イベントの全体概要

画像
SFF2023公式ロゴ
(主催Elevandi提供)
 本イベントに先駆けて、金融機関やIT企業のイノベーションラボを訪問する「ラボクロール」、規制当局の関係者を集めたセミナーや投資家向けの事前イベントなども開催されており、毎夜の各種レセプションとあわせて11月13日週は、街中がSFFムード一色となった。

 メインイベントが行われたEXPOでは、6つあるすべてのホールが以下のような割り振りで使われた。

  • メインステージ
    シンガポールの大統領を始め、IMFやWorld Bankなどの国際機関の代表、DBS、OCBC、UOBなどの大手行、Ant Group、TencentなどのIT企業、Circle、Wiseなどのフィンテック企業など、豪華な顔ぶれ(主な登壇者)の経営トップが登壇した。
  • グローバル金融機関及びIT企業の展示ブースが中心
  • 金融機関及びIT企業のブースが中心
  • FinTechスタートアップのブースが中心
  • ESG、RegTechの展示ブースと各国パビリオン
  • 各国パビリオンとHR関連企業のブース

 さらに、今年は金融機関、IT企業、フィンテックスタートアップなどによる展示ブースの他に、5つの重点エリア(Zone)が設けられた。

  • Technology(Hall 3)
    「AIとその適用例」、「Web3の中心技術と事例」、「デジタル公共財」といった内容の展示や発表が行われる場。
  • Founders(Hall 4)
    起業家の経験談を語ってもらう「Founders Peak」というステージの他、投資家とのネットワーキング機会提供、投資相談会開催などが行われる場。
  • ESG(Hall 5)
    ESG関連の発表、展示に加え、環境保護やサステナブルファイナンス関係者のネットワーキング機会を提供する場。
  • Regulation(Hall 5)
    規制対応の「RegTech」や規制当局向けのソリューションを提供する「SupTech」などがブースを出す他、MASが規制相談を受ける場。
  • Talent(Hall 6)
    フィンテック人材育成や金融機関の人材再教育などに関する発表やワークショップなどの他、金融領域の将来のキャリアに関するミニセミナーを開催する場。

シンガポール通貨金融庁(MAS)の基調講演の内容は?

 SFFは主催にMASが名を連ねており、単なる国際見本市やセミナーと異なり、金融立国を目指すシンガポールの国策に沿って運営されている。フィンテックエコシステムの拡大をアピールするためにさまざまな演出が行われ、海外の金融関係者を集めるための仕掛けが工夫されているが、毎回MASが発表するフィンテック政策の基本方針は業界関係者の大きな注目を集めており、その内容を紹介しておきたい。

まず、2022年の基調講演において主要テーマとしてあげた以下5項目の重要性は変わらないとした。

(1)即時送金(instance remittance)
(2)分散処理による細分化された決済(atomic settlement)
(3)プログラム可能な通貨(programmable money)
(4)トークン化された資産(tokenized assets)
(5)持続可能性に関する信頼できるデータ(trusted sustainability data)
 その上で、内外の金融関係者と監督当局が連携して成果をあげつつある領域として3つの重点項目とその具体的な内容が説明された。

即時決済

 国内決済システム(FASTとPayNow)を整備し、24/7でリアルタイムの決済が可能となったことに加えて、生活の利便性向上に直結する様々な取組みが実現している。

  • 各種決済に利用されるQRコードを統合的に利用できる「SGQR」を提供、シンガポール国内の90%以上の店舗で利用できるようになっている。さらに、「SGQR+」の提供が開始されており、単一銀行との取引で、複数QR決済による支払いを受けられるようになった。
  • 中国、マレーシア、タイからの旅行者は各国のQRコード決済をシンガポール国内で利用できるようになっており、インドネシアとの互換性もSFF開催中に実現の予定と発表された。
  • 海外送金を安く、早く、効率的に実現することを目指して、シンガポール国内の少額決済システムPayNowを既にタイインドと相互接続したことに加え、マレーシアインドネシアとも相互接続を開始することがSFFの開催中に発表された。
  • 国際決済銀行(BIS)のイノベーションハブを活用したASEAN5カ国(インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、マレーシア)による即時決済プラットフォームの実証実験に着手している。
【次ページ】超重要「シームレスな金融取引」「信頼に足るサステナエコシステム」

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