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- 2023/12/22 掲載
すでに“4割”、新人類「デジタルアセット投資家」層の特徴とは?
ブロックチェーンで「金融商品化」デジタルアセットの潮流
従来の資金調達手法を補完するオルタナティブ・ファイナンス(補完金融)は従来の資本市場を大きく拡張させる可能性を秘めている。1990年代から概ね10年毎に大きなイノベーションが起きている不動産投資市場では、金融技術と情報技術を活用したオルタナティブ・ファイナンスが進展している。特に2020年代初頭の現在、4段階目のイノベーションとして不動産デジタル商品とも呼べる新たな「デジタルアセット」が登場している。
重要なのは、デジタルアセットが「資産として価値を有するデジタルデータ」から「暗号的に保護された分散型台帳に記録されたデジタルな価値の表象」へと再定義されつつある点だ。
不動産・インフラや嗜好品・コンテンツなどの幅広いオルタナティブ資産が「デジタル証券化」され、資産市場において「デジタル・アセット・ファイナンス」とも呼べる新しい市場が創出されようとしているのだ。
今回は、これらデジタルアセットに対する人々の関心と評価、そしてデジタルアセットに関心を持つ人々の特徴についてである。
現在のデジタルアセットは単なるデジタルデータではなく、分散型台帳の1つであるブロックチェーン技術を用いることで金融的な側面を持つようになってきている。つまり、現在のデジタルアセットは、あたかも金融商品の1つとして取り扱われており、個人投資家にとっては伝統的な通貨や株式、投資信託などと同じ土俵に乗る商品となった。
ビットコインなどの暗号資産やNFT(非代替性トークン:Non-Fungible Token)、セキュリティトークン(Security Token:ST)などのデジタル証券、そしてユーティリティトークン(Utility Token:UT)などのデジタル利用権など、デジタルアセットを十把一絡げに扱うことはできない。個々に多様なデジタルアセットが登場しているのだ。
まず、それら個々のデジタルアセットに対する人々の関心度合いについて見てみよう。
ビットコイン、NFT、STと続くデジタルアセットへの関心
野村総合研究所は2023年6月に「デジタルアセットに関する調査」として、日本全国に居住する金融商品に興味がある20代~60代の男女を対象としてインターネットアンケート調査を実施した。この調査に基づき、個々のデジタルアセットに関する関心度について聞いたものが以下の図である。この図からは、最も認知度が高く、また興味を持たれているのは「ビットコインなどの暗号資産」であることがわかる。認知度としては約98.1%と非常に高く、また興味がある割合も約30%近くあり、デジタルアセットの代表格と言える状況となっている。しかし、認知度の高さと引き換えに、興味がない割合も最も高く、暗号資産への関心の有無が二極化している傾向も明らかになった。
次に興味があるという回答が多かったのは、「NFT(非代替性トークン)」である。NFTは諸説あるものの2017年に誕生し、2021年から大きな盛り上がりを見せたと言われているが、現時点での認知度が約8割もある結果となっており、誕生からわずか6年の間に急速に周知されている状況が明らかとなった。
そして「セキュリティトークンなどのデジタル証券」に関しては、約15%が興味あると回答しているが、「知らない、聞いたことがない」という回答比率が高いのも特徴的な結果となっている。現状としては知る人ぞ知る玄人好みのデジタルアセットと言えるかもしれない。 【次ページ】「約38.2%はデジタルアセット関心層」の衝撃
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