- 2025/06/26 掲載
モノ申す社員がいる会社は伸びる?経営者に声が届く企業ランキング
「この会社をもっと良くしたい」社員の声が集まる企業とは?
上場企業に人的資本の情報開示が義務づけられてから2年が経過し、単なる開示から経営戦略に結びつけた改善へと踏み出す企業が増えている。こうした動きを背景に、OpenWork「働きがい研究所」は、社員による「経営者への提言」クチコミの出現率を基に建設的な意見が多い企業ランキングを発表した。1位は三井物産、2位はSaaS企業のフリー、3位はエネルギー大手の出光興産。業種に偏りはなく、総合商社、IT、医薬、アパレルなど多様な企業が上位に名を連ねた。投稿内容も「給与改善」「評価制度改革」から「人材投資」「社内コミュニケーション」まで多岐にわたり、各社への愛着や期待が読み取れる。
「改革、成長」vs「給与、離職」ワードクラウドで見えたリアルな声
OpenWorkでは、社員・元社員から寄せられたクチコミのうち「経営者への提言」という項目に注目している。人事制度や組織文化への具体的な改善提案、経営方針に関する建設的な意見など、単なる不満や賞賛ではなく“会社を良くしたい”という視点の投稿を分析し、「経営提言スコア」として指標化した。このスコアは経営への肯定度合いではなく、建設的提言を含む投稿の割合に基づく。ランキングではTOP100に含まれる大企業だけでなく、IT系ベンチャーや中堅企業も上位にランクインしており、多様な企業文化における“声をあげやすさ”が浮かび上がる。
実際の投稿には「優秀な人材をもっと早く登用してほしい(三井物産)」「目標達成後の還元と、組織のビジョン共有が大切(フリー)」「人材育成を通じて新規事業を生み出してほしい(出光興産)」など、企業に対する期待や提案が具体的に綴られている。
また、東証プライム上場企業を対象に、「経営者への提言」で使われた単語を分析したワードクラウドでは、OpenWork総合評価スコアの上位企業ほど「改革」「成長」「現場」「社内」といった未来志向・内省的なキーワードが目立った。
一方、下位企業では「待遇」「給与」「離職」「意見」など、現状への不満が前面に出る傾向が見られた。両者に共通する「投資」という語も、人材や環境への投資を企業判断として重視する視点を反映している。
経済産業省が定義する「人的資本経営」とは、人材を資本と捉え、その価値を引き出すことで中長期的な企業価値を高める経営手法とされる。開示の形式や数値にとどまらず、社員の声を起点とした対話と改善こそが、その本質といえるだろう。
株式・債券市場・資金調達のおすすめコンテンツ
PR
PR
PR