- 2025/06/19 掲載
40代社員が最多? 大企業9割が頭を抱える「静かな退職」の実態
「静かな退職」認知度は5割、実態把握は大企業で顕著
「静かな退職(Quiet Quitting)」とは、仕事への熱意が低下し、必要最低限の業務にしか関与しなくなる状態を指す。今回の調査では、この用語を「名称も含めて知っている」と回答した割合が52%にのぼった。「静かな退職」状態の社員が「いる」または「いる可能性がある」と答えた企業は、従業員規模によって大きく傾向が異なっている。全体では「いる」が20%、「いる可能性がある」が45%と、約6割以上の企業が何らかのかたちで静かな退職の存在を認識している。
企業規模が大きくなるほどこの傾向は顕著で、1000名以上の企業では「いる」(37%)と「いる可能性がある」(58%)を合わせて95%にのぼった。300~999名の企業でも「いる」が30%、「いる可能性がある」が60%と高水準であり、大企業ほど該当社員の存在が顕在化していることがわかる。
一方、従業員が100名未満の企業では、「いない」とする回答が過半数を超える傾向にあり、とくに1~9名の小規模事業者では「いない」が59%を占めた。「わからない」とする回答は50~99名で26%、100~299名で22%など、規模によって把握の度合いにも差が見られる。
該当者は40代の一般社員、バックオフィス職が中心
静かな退職状態の社員が「いる」「いる可能性がある」と回答した企業に対し、該当者の属性を尋ねたところ、84%が「一般社員クラス」と回答した。年代では「40代」が48%で最多、年収帯では「400万~599万円」が70%を占めた。職種別では「バックオフィス職(経理・総務・人事など)」が26%で最も多かった。静かな退職に至った背景については、「プライベート重視になってしまったから」が30%と最多だった。一方で「特にない・わからない」も26%にのぼり、企業側が理由を明確に把握できていないケースも多い。
そのほか、「ミスが多く仕事量を増やせない」「責任の重い職種で疲弊した」「自己評価と会社評価のギャップがあり、指導を受け入れない」といった具体的な声も寄せられた。
実態としては、「フルリモートではないのに出社せず、チャットの返信も遅い」「挑戦を避け、ルーティン業務しか行わない」「自分の業務であっても情報収集を行わない」などの行動が挙げられた。
また、「管理職が働かない姿を見た部下のモチベーションが下がっている」「業務を何度教えても改善されず、異動も難しい」といったエピソードも報告された。企業の年功序列文化が静かな退職を助長していると指摘する声もある。
対応策は二極化、「賃金見直し」と「静観」が最多
企業側の対応については、「給与体系の見直し」と「特に何もせず様子を見る」がいずれも32%で同率トップだった。前者の理由としては「他の活躍する社員に報いるため」「シニア層も評価対象に含めるため」といった意見があった。一方後者では「過去に労務問題に発展した経験がある」「年配の管理職には誰も注意できない」といった事情が背景にある。
また、今回の調査では、静かな退職に加えて、人材配置や再雇用に関する課題も浮き彫りになった。「高齢化や業務の属人化により、事業継続に不安がある」「少人数体制で非意欲的な社員が1人いるだけで他の社員の負担が増える」といった悩みが寄せられている。
さらに、「再雇用した元上司のモチベーション維持が難しく扱いづらい」「営業成績を理由に事務職の人手不足が放置されている」「辞める雰囲気を出さずに静かに去っていく若手社員もいる」といった声もあった。
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