- 会員限定
- 2025/10/02 掲載
“量子と光”で金融が激変、IOWNが拓く「次世代マネーインフラ」の衝撃とは?
国際大学GLOCOM客員研究員(NTTコミュニケーションズ勤務)。現在、クラウドサービスの開発企画、マーケティング、広報・宣伝に従事。総務省 AIネットワーク社会推進会議(影響評価分科会)構成員 一般社団法人クラウド利用促進機構(CUPA) アドバイザー。著書多数。
IOWN×金融が注目を浴びるワケ
IOWNの金融分野での応用が注目を浴びている。IOWNとは、フォトニクス(光)技術や情報処理技術を活用した次世代情報通信基盤のことだ。金融の世界では、高速取引におけるスピードと公平性の担保、膨大なデータを安全に処理する能力がこれまで以上に求められている。さらに、AIやブロックチェーンを組み合わせた新しい取引形態が拡大する一方で、取引の高速化に伴う遅延リスクやシステム負荷、サイバー攻撃の脅威も深刻化している。既存のネットワークやデータセンターの仕組みでは限界が見え始める中、IOWNへの期待が急速に高まっているのだ。
そもそもIOWN構想は、NTTが2019年に打ち出したものだ。従来は電気で処理していたデータを光で処理することで、大容量・低遅延・低消費電力を実現する。その革新性は、生成AIの急速な進展によって増え続けるデータ量や、深刻化する電力消費の課題を解決する切り札と目されている。
2030年に向けて、持続可能な社会を実現するためには、環境負荷を大幅に抑えながら高度なネットワークとコンピューティングを整備することが不可欠だ。その中心にあるのがIOWNであり、新たな価値創造の基盤として注目を浴びている。
こうした動きを加速させるべく、2020年にはNTT、インテル、ソニーが中心となって米国で「IOWN Global Forum」が発足。現在では167の組織・団体が参画し、スマートシティやスマートファイナンスなど幅広いユースケースを議論している。
金融機関からもみずほ銀行、三井住友フィナンシャルグループ、三菱UFJ銀行、SOMPOホールディングスなどが参加しており、金融業界全体での実装を見据えた取り組みが進みつつあり、その動向は一層注目を浴びている。
では、金融の未来をIOWNは具体的にどう変えていくのか。 【次ページ】IOWNの中核となるAPN(オールフォトニクス・ネットワーク)
決済・キャッシュレスのおすすめコンテンツ
PR
PR
PR