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- 2025/09/02 掲載
Visaが日本でも導入へ、米国で「クレカ不正利用」58%も減少させた“ある技術”の秘密
ネットニュース編集部で編集者兼記者、デスクを経て2005年6月から独立して現在に至る。専門はモバイル、決済、デジカメ、セキュリティなど。発表会取材、インタビュー取材、海外取材、製品レビューまで幅広く手がける。
クレジットカード不正被害も拡大し続けている
証券会社の口座が不正に乗っ取られた事件で、5,000億円を超える被害が発生している。その陰に隠れて目立たないが、クレジットカードの不正被害も拡大中だ。2014年には不正被害額が114億円程度だったが、2024年には過去最大の550億円を突破。今年もすでにそれを超えるペースで被害が広がっている。その中でも特に被害が大きいのが、クレジットカード番号が漏えいして悪用される番号盗用被害だ。以前は被害全体の半数強程度だったが、今や9割以上の被害が番号盗用で、ほとんどがオンラインでクレジットカード情報が流出して悪用されたものと考えられる。
増加の一途をたどるクレジットカードの不正利用被害。その対策の1つとして、今後日本でも登場するのが「クリック決済」だ。番号盗用を減らす仕組みとして注目したい技術だ。それに加えて、ECサイトにおける買い物途中での離脱、いわゆる「カゴ落ち」を削減できる可能性も秘めている。
国際ブランドのウォレットサービス「クリック決済」
「クリック決済」は、ビザ・ワールドワイド・ジャパン(Visa)が7月にメディア向けに披露した言葉で、これまで海外では「Click to Pay」と表記されており、これを日本向けにVisaが表現したもの。物理カードをタッチする「タッチ決済」との対比で作られた表現だ。Click to Pay自体はVisaの独自技術ではなく、クレジットカードの標準化団体であるEMVcoが策定した標準規格「EMV Secure Remote Commerce(SRC)」を元にしたサービスの名称で、海外ではVisa、Mastercard、アメリカン・エキスプレスといった国際ブランドがすでにサービスを提供している。
クリック決済では、国際ブランドが用意するサイトに、カード利用者が自分のカード情報を登録する。日本で言えば三井住友カード、オリコカード、セゾンカードといった発行会社は問わず、それぞれのカードに設定された国際ブランドに対して、そのカード情報を登録していく。
こうして複数のカードを登録しておいて、実際の決済時にはこのカード一覧から支払いに使うカードを選んで決済をする、というのがクリック決済だ。
同様の技術としては、たとえばAppleウォレットやGoogleウォレットが近い。これは、主にスマートフォンでカード情報を登録して、リアルのタッチ決済でも支払いができるが、対応サイトであれば登録したカード情報を読み出してオンラインでの決済も行える。
こうした、スマートフォンのウォレットに対して、国際ブランドによるウォレットサービスというのがクリック決済だ。このクリック決済やスマートフォンのウォレットは、増え続けるカード番号盗用被害を減らせる技術だと目されている。 【次ページ】そもそもクレカの番号流出はどのようにして起こっている?
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