• 2026/04/24 掲載

金融庁「AI新ルール」徹底解説、顧客対応に“生成AI”はどこまでOK?どこからNG…?(2/2)

金融庁「AIディスカッションペーパー(第1.1版)」を読み解く

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改訂版の論点(2):法制度との整合性は?

 次に、改定版の2つ目のポイントである「諸法令・規制の考え方」について見ていきましょう。

 金融機関でのAI活用において特に議論の的になるのは、個人情報保護に関する課題です。AIの活用には基礎的なデータを読み込ませることが必要ですが、顧客情報をAIに学習させる場合には、既存の法的ルールとの兼ね合いが問題となります。

 たとえば、証券会社がAIシステムの開発を、システム関連の子会社に委託する場合、法令で定められている“非公開情報の授受規制”に触れるかどうかといった点も重要な論点の1つです。改定版では、例外規定にある「電子情報処理組織の保守及び管理」にシステム開発が含まれるため、必ずしも会話データなどから非公開情報を事前に除外する必要はないといった考え方が示されています。

 会話データに“法人関係情報”が含まれている可能性があり、その会話データの分析者にアクセス権限を与えることは、法人関係情報の管理態勢として適当か、といった論点については、日本証券業協会がすでに示している考え方(「協会員における法人関係情報の管理態勢の整備に関する規則」)や、これまでの実務の積み上げが参考になるとしています。

 生成AIを基にしたシステムが顧客に直接、金融商品の推奨などを行うことが、金融商品取引法上の「勧誘」にあたるかも論点です。これについては、「『勧誘』とは一般に、金融取引への誘引を目的として特定の利用者を対象として行われる行為と解されており、AIを活用する場合においても同様の考え方が妥当する」との考えが提示されており、その上で、「勧誘」に該当するかどうかは「AIが投資家の判断に与える影響やAIへの営業担当者などの関与の度合いなどを踏まえ、具体的な検討を行うことが考えられる」と指摘しています。

 加えて、個人情報保護法の3年ごと見直しの議論についても言及しています。政府内では、一般的な統計情報のように個人特定ができないことなどを条件として、AIの学習などに使用する際の顧客からの同意取得を不要とする方向で制度改正の準備が進められています。

 ルール整備が実現すれば、金融機関におけるAI活用の前提となる制度環境が大きく変わることになりそうです。

改訂版の論点(3):AI利活用の実践は? 専門人材をどこに配置すべきか?

 また、「AIの利活用の実践」については、AI利活用の推進とリスク管理のバランスについて、AI官民フォーラムで上がった意見を整理しています。

 これまではデータサイエンティストなどの専門人材を専門部署に集める体制が一般的でしたが、AIに関してはより現場に近い部署に専門人材を置く必要があるといった声を紹介しています。社内業務の効率化など低リスクのAI利用は現場判断で進める一方、顧客向けのような高リスクの利用は専門部署が事前審査を行うといった事例も取り上げられています。

 金融庁は将来的な技術発展や環境変化に応じて「今回提示した視点を起点に、今後もステークホルダーとの対話を強化しながら、具体的な施策について柔軟に検討を深めていきたい」とのスタンスを示しています。

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